デンマークの作家、ハンス・クリスチャン・アンデルセンの童話にOle Lukøje(オーレ・ルコイエ?デンマーク語なのでよく分かりません)があります。日本語では「眠りの妖精」、英語ではSandman等と訳されるようです。彼は子供たちの目に細かい砂をかけて眠らせます。両脇に傘を1本ずつ抱えていて、良い子には絵が描いてある傘をさしかけます。するとその子は一晩中美しい夢を見ます。もう1本の傘には絵は描かれておらず、悪い子にさしかけるとその子は夢を見ずに深く眠るそうです。眠りの妖精は、Hjalmar(ヒヤルマール?)という少年に1週間、お話を語ります。主人公の少年は壁にかけられた絵の中をボートで旅したり、ネズミのひく指貫に乗ってネズミの結婚式を見に行ったりします。日曜日には眠りの妖精の兄であるもう一人の眠りの妖精、すなわち死が人々に訪れる様子を垣間見ます。
アンデルセン童話は変な話とか、救いのない話が多いですが、かわいいと思いました。絵本は意外と少なくて、図書館で探した限りではリスベート・ツヴェルガーの挿絵のものしかありませんでした。眠りの妖精をモチーフにしたロイヤル・コペンハーゲンのフィギュリンを買いました。傘は1本しか持っていません。同社のフィギュリンはもっと短い服を着ているバージョンなどもあるようですが、いずれも少年の姿です。アンデルセンによる眠りの妖精はギリシア神話の眠りの神、モルフェウスであり、大変年をとっているそうです。高齢でも人間でなければ姿が人間の老人と同じと考える必要はないのでしょう。ジョージ・マクドナルドの児童文学にも若々しい外見の老人が登場します。
Wikipediaのアンデルセンに関する記事におもしろい記述があります。
“極度の心配性であったらしく、外出時は非常時に建物の窓からすぐに逃げ出せるように必ずロープを持ち歩いた。さらに、眠っている間に死んだと勘違いされて、埋葬されてしまった男の噂話を聞いて以来、眠るときは枕元に「死んでません」という書置きを残していた。(中略)ラブレター代わりに自分の生い立ちから、童話作家としてデビューした事、初恋に敗れた悲しさなどを綿々と綴られた自伝を送るという変な癖があった”アンデルセンは切り絵もあります。こんなのとか、こんなモビールも販売されているようです。 ステキ。暗い話が多いとはいえ、随所に寒い地方の冷たい光のような、澄んだきれいな描写が見られるのはアンデルセンの魅力だと思います。絵本や童話集などで読んで「知っているつもり」になっていましたが、そういえばすべてをちゃんと読んだことはありませんでした。いずれ、全集を読んでみます。
デンマークの画家、ハンマースホイも好きです。中学生のころ、カレン・ブリクセンに熱中していた時期がありました。いつかコペンハーゲンに行ってみたいです。
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