2012年1月3日火曜日

『ソフィー』(本)


【題材、書誌情報】
「青ひげ」 ペロー童話
ガイ・バート著、新潮社刊、2009年

【あらすじ】
ロウソクの灯りに照らされた部屋で、マシューは椅子に縛り付けた姉のソフィーに、自分たちの幼少時代について語るように迫る。なぜソフィーは縛られているのだろうか?並外れた知性を持った姉に見守られたマシューの幼少時代とその終焉とは?20年前の夏に一体何が起こったのだろうか? ソフィーとマシューの語りによりそれらのことが徐々にあかされる。

【コメント】
ミステリーです。過去と現在が、ソフィーとマシュー(マティー)により交互に語られます。両親に半ば見捨てられているものの、美しく賢い姉と過ごす日々は閉ざされた楽園のようでもあります。ヒイラギの木のうろに作った隠れ家、悪夢にうなされたときに作ってもらったオレンジエード、化石探し、姉が暗号で記す日記等々の魅力的なエピソードが登場します。全体が甘く悲しい雰囲気に包まれており、しかも続きが気になって本を置くことができないストーリーの面白さもあります。
ただ、私の読解力の不足のためか一度読んだだけでは分からない点が多々あります。「マシューの悪夢は何だったのか?」、「なぜ母親も死んでしまったのか?」とか。謎が謎のまま残るのもいいのかもしれません。
なお、「青ひげ」のアダプテーションのようなシーンは最後の方で少し登場します。動画は作品中でソフィーが歌う「ボロを着たジプシーたち」(Raggle Taggle Gypsies)です。一度聴いたら忘れられない、物悲しいメロディです。失われた美しい子供時代という本作品のテーマに合っていて、小説を読みながらBGMにこの音楽をかけると、ソフィーとマティーの姿がくっきりと印象付けられるように思います。

【おすすめ度】
★★★★★

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