2013年4月22日月曜日

The Blue Flower(本)

Fernand Khnopff, 'Jeanne de Bauer'
【書誌情報】
Penelope Fitzgerald, The Blue Flower, Harper Collins Publishers, 1995

【あらすじ】
18世紀末のドイツ。フリードリヒ・フォン・ハルデンベルクは子沢山の家庭の長男で、詩の才能があった。貴族の家庭だが、さほど裕福ではなかった。フリードリヒはイエナ大学とライプツィヒ大学で学び、法律関係の書記見習いとなる。下宿先で知り合った12歳の少女、ゾフィーに一目惚れし、婚約するがゾフィーは病弱で、度々手術を受けるものの効果がなかった。

【コメント】
ドイツロマン派の作家、フリードリヒ・フォン・ハルデンベルク(=ノヴァーリス)が22歳の時出会った少女、ゾフィーとのロマンスに取材した歴史小説です。

『青い花』は10年ほども前に読みましたが、あまり印象に残っていません。尊敬する松岡正剛さんの「千夜千冊」で紹介されていて、この記事を読むと明日にでも入手して読まなくては!思いますが、英訳より日本語訳の方が良いようで、まだ再読できていません。

ベルギー象徴主義の画家、フェルナン・クノップフの描く少女の横顔をコラージュにした表紙がインパクトがあります。少女、ヤグルマギク、水晶の輝き、ドイツの風景や気象などがさぞ魅力的に書かれているのだろうと、期待が膨らむ表紙です。そして表紙が本書の最良の部分だと思います。私がもっと真面目にノヴァーリスの『青い花』を読んでいれば楽しめたのかもしれませんが、登場人物も、ストーリーも謹厳で抑制的で、退屈でした。ノヴァーリスによって理想化され、「ゾフィー体験」とすら称されるほどのゾフィーは、本書では無邪気で率直ではあるものの、とりたてて容姿・知性の面で優れているわけでもなく、普通の子供として書かれています。高く評価されている小説で、1995年に19の新聞記事で「今年の本」に選ばれ、全米批評家協会賞を受賞したそうなので、つまらないと感じてしまうのは私に読解力がないからでしょう。もっとおもしろければ非常に良い小説だろうと思います。

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