無垢材中古家具の販売

カイユボット「床削りの人々」1875年

渡米したとき、持ち帰るつもりでEthan Allenの、我々としては高価な家具を買いました。イーサン・アレンの家具は、無垢材で重厚ではあるものの、抽出しがスムーズに動かない、日本のものと比べるときちんと閉まらない、布巾で表面を水拭きしただけで塗料がはげるなど、造りはお粗末です。塗料などは自分でメンテナンスすれば良いのでしょうが、使い込んで愛着が湧く感じではありませんでした。また、一般的な日本の賃貸家屋に収めるにはサイズが大きすぎます。渡米する時よりも持ち帰れる荷物の容量が減ったこともあり、できるだけ販売することにしました。販売価格は10年間かかって減価償却した後の残存価値+αくらいになってしまいましたが、会社負担で運べる荷物の容量をオーバーした場合に、自費で運ぼうとすると輸送費が定価よりも高くなってしまうので、やはり手放すのが適当だろうということになりました。

ebayとcraig's list及びいくつかの日本語掲示板にも書き込んで、購入者を募りました。簡単に輸送できないので、自宅まで引き取りにこられる方限定としました。アメリカは、引越業者を使わずに、トラックを借りて自分で引越しをする人も多く、トラックは簡単に借りることができます。この際なので、とにかく売らないと、と思いました。最終的には、買ってくれた方々とは気持ちの良い取引ができましたが、中には面白半分で連絡してこられたこともありました。

特に苦労したのは机で、とても複雑な構造で脚を外すことができずに階段のところに詰まってしまい、予定していた日に引き渡すことができませんでした。イーサン・アレンに、分解方法を教えてくれるように連絡したのですが、「組立部門に打診し、方法が分かればすぐ連絡する」と言われたにも関わらず、その後は催促しても、2週間経っても、梨の礫で、夫が大汗をかいてやっとのことで分解できました。その日に引渡しができず、平謝りだったのですが、先方はオーケー、と言ってくれました。イーサン・アレンは1970年代頃までは、質の良い高級家具を販売することで有名だったらしいのですが、現在は質の悪い家具を、過去の栄光にすがって値段だけ高く販売し、顧客サービスも最悪、ということで、ネット上での悪いレビューも数多いです。これを先に読んでいれば良かったのですが…3年間使ってみて、一つだけ良い点をあげるとすれば、木材の質だと思います。

家具を販売するには、採寸、写真撮影、状態の記載、相手との電話とメールによるスケジュール調整などに加えて、上記の机のようなものは、写真付きで組立説明書を作ってお渡ししないといけないので、引越しの梱包作業と並行して進めるのは結構大変です。自分の家を買って、一ヶ所に定住するまでは、安物を買って数年単位で使い捨てるのが良いと思いました。



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