2013年9月26日木曜日

ニューオーリンズ旅行 ニューカム陶器


 アメリカの製品は、デザインが大味で作りが粗いし、ヨーロッパに比べるとやはり洗練されていないなと思うのですが、アメリカン・アーツ・アンド・クラフツのものは独自の美しさと堅実さを兼ね備えていて、とてもすてきだと思います。アーツ・アンド・クラフツの工芸品は和室に置いても調和するような佇まいです。アメリカには各地にアーツ・アンド・クラフツ関連のものがあり、たとえばこの付近だとデダム陶器、シカゴはフランク・ロイド・ライトの建築(フランク・ロイド・ライトはアーツ・アンド・クラフツには分類されないものの、その流れを汲んでいます)があり、美術館でもよく関連のものが常設展示されています。その地特有のアーツ・アンド・クラフツの作品を見ることは、アメリカを旅行する際の楽しみの一つです。

ニューオーリンズにはニューカム陶器があります。ニューカム陶器の工房は1895年にはじまり、ニューカム大学を卒業した女性たちが陶器の装飾に携わりました。ルイジアナ州に見られる植物がモチーフとなっている装飾が多いそうです。色は青が中心で、他に緑や赤なども用いられています。全盛期にはアメリカやヨーロッパで数々の賞を取りましたが、時代とともに人々の好みが変化したので1940年に工房は閉鎖されました。ニューカム工房は一部別組織に継承されたものの、1950年代にはニューカム陶器は製作されなくなりました。現在では非常に高価なものとなっています。

「マダム・ジョンの遺産」というフレンチクォーター内の小さな建物で、ニューカム陶器の展覧会が開催されていました。





ニューカム陶器は青い色が美しいです。植物は写実的に描かれています。枝から布のようなものが垂れ下がっている木が描かれている花瓶があって、めずらしい植物だと思いました。


植物の種類は分かりませんが、たぶんこれだろうと思います。ニューオーリンズの美術館の近くで見たものです。

デダム陶器もオリジナルは非常に高価ですが、リプロダクト品は容易に手に入れることができます。ニューカム陶器は完全に製作が廃止されてしまい、リプロダクト品すらありません。せっかくこのようにすばらしい陶器を作っていたのに、「お金にならないから」という理由で廃止されてしまったそうで、もったいないなと思いました。

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