【基本情報】
Les Sœurs Brontë,『ブロンテ姉妹』、1979年、フランス
監督 アンドレ・テシネ
出演 マリー・フランス・ピジェ、イザベル・アジャーニ、イザベル・ユペール他
【あらすじ】
シャーロット、エミリー、アンのブロンテ姉妹と、シャーロットとエミリーの間の男の子、ブランウェルの伝記映画。
【コメント】
ブロンテ姉妹の文学はイギリス的だと思いますが、この映画はヨークシャーの荒野を舞台としつつも、言語はすべてフランス語です。フィクションを書かれた言語と違う言語や舞台設定で演じるのはうまく演出してあればおもしろいですが、こういった伝記映画を別の言語でするのはかなり違和感があります。
ブロンテ姉妹の作品はシャーロットの『教授』とアンの『ワイルドフェル館の住人』以外は読みました。また、エミリー・ブロンテの伝記と、姉妹とブランウェルを題材とした小説も読みました。映画では、ブランウェルが家庭教師先の生徒の母親と恋愛関係を持ったことが中心となっています。これだけの大女優を揃えて、上映時間も約2時間の大作なのに、肝心の姉妹の生涯についてはあっさりしすぎている印象です。ブロンテ姉妹のことは詳細はあまり分かっておらず、田舎に住む貧しい三人が突如、ベストセラー作家になったという以外は大きな恋愛沙汰などもなかったようですが、よく研究され、伝記も多く出版されているので、創作に関することでもう少し映画の題材にできることがあったのではないかと思います。雰囲気はよく、荒野を背景とする美人姉妹は絵になります。天気は常に曇りか雨で、灰色のヒースの野が延々と広がる荒涼とした風景は『嵐ヶ丘』や『ジェーン・エア』の世界です。ほとんど白黒のような背景に何度か登場する馬車が、荒野に孤立した姉妹と外界を結んでいるようです。
イザベル・ユペールのアン・ブロンテ |
2011年『ジェーン・エア』のミア・ワシコウスカ |
イザベル・アジャーニは美人ですが、エミリー・ブロンテのイメージには合いません。ラファエル前派的な容貌で、抑えた演技のイザベル・ユペールが、三人の中では一番ブロンテ姉妹のイメージに近いと思いました。2011年の映画、『ジェーン・エア』のヒロインにも少し似た佇まいです。
画家のクリムトは「私自身は興味深い人間ではない。私について知りたいと思うなら、私生活について研究するのではなく、絵を見てほしい」という言葉を残しています。作家についても同様のことが言えるのかもしれません。画像拝借元
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