驚異の棚

アメリカ国内や、ヨーロッパを旅行して美術館や自然史博物館を訪れると、ヴンダーカンマー(Wunderkammer, cabinet of curiosities,驚異の部屋)を作りたいと思うようになりました。部屋全体をそれらしくするのは難易度が高いので、驚異の部屋によく見られるような陳列棚を作ることにしました。簿記の勉強をしていたとき、「合格したら驚異の陳列棚を作る!」というニンジンをぶら下げて、しょっちゅうサボりたくなるのをどうにか我慢していました。

ベルリン、自然史博物館

ボストン、科学博物館

出典
博物館や美術館で撮った写真や、画像検索をして何を陳列するか考えました。

夫にお願いして、クリスマスに壁掛式のガラス戸つきキュリオケースを買ってもらいました。サイズは50×35×8(センチ)くらいです。ヴンダーカンマーの趣旨から外れるような気もしますが、自然科学的・博物学的アプローチはせず、自分の趣味で集めたものを並べました。地球ゴマは子供の頃遊んだもので、砂時計(2秒計)は25年ほど前の、親戚のドイツ土産です。その時は、外国製のものが今よりは少し珍しかったように思います。真鍮部分が錆びていたところ、酢につけておくときれいになったので、飾ってみました。鉱物や貝殻は以前から細々と集めていました。ニューオーリンズで買った鉱物の一部を陳列しました。実家のコレクションから、もらってきたものもあります。
普段目につかないところへしまって、時々眺める方針だとしまいこんでいる時間が99パーセントになるので、もったいない気がして、いつも見えるところに飾ることにしました。

ヴンダーカンマーというと、剥製やホルマリン漬け、骨格標本の他、グロテスクに感じられるものでも物珍しければ陳列してあることが多いですが、私はやめておきました。そもそも剥製やホルマリン漬けは持っていません。結果、ヴンダーカンマーとしては怪しさが足りないというか、小奇麗すぎる感があって、「驚異の」と銘打つには迫力がありません。まだ空室があるので、中に入れるものは今後も徐々に収集します。

興味のない人にとっては単なるガラクタの集積で「なんだこれは!?」という感じだと思いますが、私には手に入れた時のことや、各地へ旅行した際のことなどを思い出させてくれ、不思議な非日常をも感じさせます。昨年もらった、ウィリアム・モリスのタペストリーの向かい側の壁に飾っています。木彫りの熊はイヤだと言いつつ、インテリアのことは私のしたいようにさせてくれる夫に感謝します。

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