ウォズワース・アテナイオン美術館

館内の様子
 ウィーンのベルヴェデーレ美術館へ行ったときのブログ記事を読んだ親切な夫が「月初やからハートフォードの美術館行こか」と言ってコネチカット州、ハートフォードのウォズワース・アテナイオン美術館へ連れて行ってくれました。


美術館は3階建てですが、2階は半分以上が改装中でした。でも見たかったクリムトは展示されていました。この作品は、久世光彦の『聖なる春』に収録されていたのを10年以上前に見て、クリムトはこんな絵も描くのか、と意外でした。陶器かガラスでできているかのように硬質で美しく、ルネサンスと19世紀末がバランスよく混じり合っているようでもあり、ずっと見たいと思っていました。ハートフォードはコネチカットの州都ではあるものの、どちらかというと地方都市で、行く機会があるかしら、と思っていたので、見ることができて本当に嬉しかったです。


ウィーンつながりで、マイセンのウィーン工房製作の磁器の花籠です。花弁や雄蕊がリアルで、精巧に作られています。


 ホルマン・ハントの「シャロットの乙女」もあります。シャロットの乙女は城に幽閉されて織物を織って暮らし、外界との接触はなく、鏡に写る他の人々の姿を見るだけでした。ある日鏡に写ったランスロット卿に恋をした乙女は、城から出て舟に乗ります。そして舟の中で死にます。シャロットの乙女伝説はラファエル前派とその周辺の画家に特に好まれたテーマでした。私はラファエル前派の追っかけをしているので、この作品も画集などで何度も複製を見たことがありました。実物は縦が1.5メートル以上はある大きなものです。もつれた髪の毛と糸が、シャロットの乙女の情念と運命を暗示するようです。複製はいつも実物よりも小さいので、気付かなかったのですが


足元に脱ぎ捨てられている靴がおもしろいです。温泉でよくある下駄のような履物に似ています。絨毯の模様(シャロットの乙女のお手製?)や、柱の装飾などが凝っています。よく見ると、この織物の枠組みの柱は1本1本が異なる装飾なのでした。下駄にも彫刻が施されています。


レイトン卿の「ヘラクレスの死」の部分図です。ヘラクレスの頭のところにいる女の子がかわいいです。レイトン卿お気に入りのモデルだったコニー・ギルクリストでしょうか。ヘラクレスは力の強い英雄ですが、妻に浮気を疑われて自分の放った矢の毒に染まった服を着て死に、絵の中では少し女性的な姿に描かれています。


T.W.デューイングの「日々」は特に気に入った一枚です。パステルカラーで、ロマンチックな、かわいらしい作品です。


サージェントはやっぱりあります。サージェントは「誰にどんな服が似合うか」をかなり気にしていたらしいです。小学生以下の女の子は白いドレスが一番似合うと思います。



 ヴンダー・カンマーな展示。天井からハリセンボンが吊り下げられています。この美術館はハコは小さめですが、見たかったもの、自分の好みの感じのものが見られて良かったです。暑い中、200マイルも運転してくれた夫に感謝します。

オマケ 英語の先生のために買ったお土産



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