イーディス・ウォートンのマウント邸


 ニューイングランドやニューヨークを中心に作品を書いた作家、イーディス・ウォートン縁のマウント邸に行きました。マサチューセッツ州のほとんど西端、レノックスにあります。ウォートンは多方面に才能のある人で、この邸と庭も、イギリスのカントリーハウス、フランスやイタリアの新古典主義建築を参照してウォートンが自分で設計したそうです。敷地は120エーカー(約48万平方メートル) ほどもある大邸宅です。母屋の他、はなれが15くらい(現存するのは1軒)広大な庭、厩舎、温室もあります。

公園よりはるかに広い

今年はウォートン生後150周年に当たるそうです。寄付をした人の中にはヨーヨー・マやジョイス・キャロル・オーツなどが名を連ねていました。


寝室
壁紙



廊下の白と緑の配色がさわやかです。立派な花が主要な部屋に飾られていました。この奥にはウォートンの旦那さんの事務室があります。夫は知らない人の夫婦仲も気にするので、「この人、旦那さんと仲良くなかったみたいやね。しょぼん」と言っていました。



食堂。ヘンリー・ジェイムズなどとも親交があったため、ここでもてなしたそうです。ここから庭に続くテラスに出ます。


庭はごく一部しか見ていません。大部分は花など植えられておらず、沼地、森、芝生などです。全部見たら日が暮れるでしょう。

書斎
 ニューイングランド出身の作家はたくさんいて、この近くだと『若草物語』の、オルコットの「オーチャード・ハウス」が有名ですが、ウォートンはお金持ちだったので家も見応えがあります。気に入っている写真集、『作家の家』(マウント邸には言及されていません) の写真のような雰囲気でした。マウント邸がニューイングランドのどこかにあることは知っていましたが、行くチャンスがあるとは思っていなかったので嬉しかったです。

お土産
ウォートンは犬が大好きだったようで、犬のぬいぐるみがあちこちに飾られていました。絵葉書は、膝の上ではなく、両肩に犬を乗せているというのがおもしろいので買ってみました。右のはEnglish Rulerにならって、定規の裏に女性作家リストがついてます。ディキンソンのポートレートは本人に似ていないし、紫式部はShikibu Murasaki(「紫」が姓で「式部」が名というわけではないと思う)の表記になっており、フランセス・バーニーやスタール夫人の名前がないのにアメリカの聞いたこともないような作家が挙がっているなど、かなり謎のリストですが、「私はこんなの持っているよ」と言えば間違いなく人気者になれます(?)。

ガイドのお姉さんが「ウォートンの代表作は『歓楽の家』、『無垢の時代』、『イーサン・フロム』ですが、個人的にはSummerがおすすめです。これはいわば『イーサン・フロム』のポジティブ版のようなもので、『イーサン・フロム』の季節が冬で寒くて暗い話であるのに対して、夏の明るい話です」と言っていました。『イーサン・フロム』を読んで、陰鬱な小説だと思ったので、次はお勧めにしたがってSummerを読んでみます。


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