グレツキ「悲しみの歌の交響曲」


クリスマスにむけて、家を飾り付け、12月初頭にはささやかな昼食会を開き、 夫とプレゼント交換をしました。でも、単に商業主義に取り込まれて快楽を追求するだけではもったい気がしました。クリスマスの本来の意味を少しは考えたいと思って、12 月は毎日新約聖書を読むようにしました。ヨーロッパ文学に少し興味があるので、今後読んでいきたいと思っているところ、聖書の知識は不可欠なのでしょう。英語版聖書は日本語版よりも読みやすいです。


アドヴェントの時期にベートーヴェンの第九やクリスマス・キャロルも聴きますが、今年、とりわけ心に沁み入るように感じられたのは、ポーランドの作曲家、ヘンリク・グレツキの交響曲第3番「悲しみの歌の交響曲」です。この交響曲には歌詞が付いていて、1楽章は聖母マリアの悲しみを、2楽章はナチスの強制収容所の壁に書かれた一節を、3楽章は戦争で息子を喪った母親の悲しみを歌っています。収容所の壁に書かれた一節は次のようなもので、18歳の少女の署名があるそうです。
お母さま、どうか泣かないでください。
天のいと清らかな女王さま、どうかいつもわたしを助けてくださるよう。
アヴェ・マリア。 (沼野充義・訳)
歌詞の意味を知り、音楽を聴くと厳粛な気分になります。旋律は深い悲しみに満ちたものですが、非常に美しいです。音楽を通じて、離れた土地や時代の人々、家族やお友達やお世話になっている人々を思い、自分が今ここに在ることを感謝しなくてはいけないなと思います。

グレツキは本作とは大きく毛色の異なる音楽も作曲しているようです。

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