サージェントの水彩画展

会場の様子
ボストン美術館で開催中のサージェントの水彩画展に行きました。美術館は常設展の他、常に複数の特別展を開催していますが、ほとんどは小規模なもので、作品数も50以下であることが多いです。でも、今回は100以上の水彩画が展示され、充実した内容でした。インターネットや新聞などでもかなり宣伝されていたので、会場はアメリカの美術館としては珍しく、混雑していました。サージェントの人気のほどを伺わせます。





私も、サージェントはアメリカでもっとも優れた画家ではないかと思います。肖像画家として成功をおさめ、充分な財産を築いたサージェントは、晩年には著名人や裕福な人の肖像画を受注するのをやめ、ヨーロッパや西アジアを旅行して趣味で水彩画を描きました。主題は無名の人や、風景が多いです。「透明水彩」という描法で描いているそうです。

通りすがりのお客さんが、「サージェントはまるで人間カメラだね!」と言っていて、なるほどと思いました。素早い筆遣いで、写真を撮るようにあらゆるものをスケッチしていたようです。現代の画家が展示作品の一枚を模写する様子がビデオで放映されていました。その画家も、「サージェントはとても速く描いた形跡があります」と言っていました。とはいえ、「雑」という感じはなく、すべて生き生きとして、色も鮮やかで楽しげです。


「エドワード・ボイトの娘たち」のエドワード・ボイトもセミプロの画家でした。彼の作品も2、3展示されていましたが、サージェントと力量の差が歴然としていると思いました。市民絵画教室の一番上手な人なら、これくらい描くのではないでしょうか。

以前から期待していた展覧会でしたが、期待以上の内容で、夫と「やっぱりサージェントはいいですね!」と話しました。会場で販売されていた図録は少し高いので買いませんでしたが、ポストカードブックは、手軽でありながら印刷もなかなかきれいなので、おすすめです。

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