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2018年10月14日日曜日

マシュー・ボーンの『シンデレラ』


夫と1ヶ月に1回、展覧会、コンサート、遊覧船等々、何かしらイベントに出かける、と約束をしていて、10月はマシュー・ボーンのバレエ『シンデレラ』を観に行きました。バレエは、10年以上前にボリショイ劇場で『白鳥の湖』を観たことがあり、自分はバレエにはそこまで興味ないかも、と思っていたのですが、上記リンクの予告編を見て、ステキだなと思って、出かけました。本物は、予告編の100倍くらい、すばらしいものでした。

マシュー・ボーンはバレエではなく、コンテンポラリー・ダンスの振付家のようです。舞台は、1940年のロンドンで、空襲のシーンもあります。シンデレラは眼鏡っ娘で、王子様はPTSDにかかった軍用機のパイロットです。フェアリーは、白い光るタキシードを着た、銀髪の天使です(ダンサーは男性ですが、中性的な感じです。英語のfairyには同性愛者という意味がありますから、このような解釈は、やはり、さもありなん、という気がします)。ストーリーにも変更が加えられていて、シンデレラは王子様の開催するダンスパーティに行くのではなく、空襲で負傷し、発見されて病院に運ばれるまでの間に、ダンスホールで踊る夢を見ます。

プロコフィエフの音楽が、第二次世界大戦中のロンドンに変更された舞台に合っていて、飛行機や爆撃、サイレンの音などの効果音とマッチしていて、驚きました。バレエ音楽は『ロミオとジュリエット』が中学校以来のお気に入りですが、『シンデレラ』も前衛的でクールな音楽だと思います。

音楽だけでなく、ダンス、舞台装置、照明、衣装等、ステージ上のすべてが行き届いていて非の打ち所がなく、美しく、楽しく、ユーモラスでもあれば、残酷さや悲哀を感じさせる部分もあります。こんな経験、人生でそうそうできるものではないと思います。地味なヒロインのシンデレラは、現実にはお姫様になるわけではなく、地味なまま、幸せを掴むところも現代的で好感度高いです。

観客は女性が多いと思いました。母が「男の人は、なかなかバレエなんて来てくれないものよ」と言っていましたが、夫はたいそう気に入って、「めっちゃええやん。今度はお母さんも誘って、3人で行こうよ」という話になりました。

2012年1月3日火曜日

『ソフィー』(本)


【題材、書誌情報】
「青ひげ」 ペロー童話
ガイ・バート著、新潮社刊、2009年

【あらすじ】
ロウソクの灯りに照らされた部屋で、マシューは椅子に縛り付けた姉のソフィーに、自分たちの幼少時代について語るように迫る。なぜソフィーは縛られているのだろうか?並外れた知性を持った姉に見守られたマシューの幼少時代とその終焉とは?20年前の夏に一体何が起こったのだろうか? ソフィーとマシューの語りによりそれらのことが徐々にあかされる。

【コメント】
ミステリーです。過去と現在が、ソフィーとマシュー(マティー)により交互に語られます。両親に半ば見捨てられているものの、美しく賢い姉と過ごす日々は閉ざされた楽園のようでもあります。ヒイラギの木のうろに作った隠れ家、悪夢にうなされたときに作ってもらったオレンジエード、化石探し、姉が暗号で記す日記等々の魅力的なエピソードが登場します。全体が甘く悲しい雰囲気に包まれており、しかも続きが気になって本を置くことができないストーリーの面白さもあります。
ただ、私の読解力の不足のためか一度読んだだけでは分からない点が多々あります。「マシューの悪夢は何だったのか?」、「なぜ母親も死んでしまったのか?」とか。謎が謎のまま残るのもいいのかもしれません。
なお、「青ひげ」のアダプテーションのようなシーンは最後の方で少し登場します。動画は作品中でソフィーが歌う「ボロを着たジプシーたち」(Raggle Taggle Gypsies)です。一度聴いたら忘れられない、物悲しいメロディです。失われた美しい子供時代という本作品のテーマに合っていて、小説を読みながらBGMにこの音楽をかけると、ソフィーとマティーの姿がくっきりと印象付けられるように思います。

【おすすめ度】
★★★★★