2012年8月31日金曜日

Somewhere


【基本情報】
監督 ソフィア・コッポラ
出演 スティーブン・ドーフ エル・ファニング

【あらすじ】
映画スターのジョニー・マルコは、離婚した妻に依頼されて娘と一夏を過ごす。

【コメント】
 映画自体は特に何が起こるわけでもなく、予告編のシーンの順序を入れ替えて50倍ほどの時間に引き延ばした以上のことはありません。

エル・ファニング美しさ、かわいさだけでもっている映画です。 顔立ちの美しさももちろんですが、しぐさや身のこなしがかわいらしく、アイススケートの練習をするシーンはまさに妖精です。年齢が十台も半ばになると、俳優の美しさだけで映画を作ることは不可能になると思います。それから、実際のスターの生活がどうなのか分かりませんが、一般人がかくあれかしと願うスターの贅沢な放蕩生活が映し出されるのも、みものです。

プールのような、ティファニーブルーのような鮮やかな水色を基調とした画面がキラキラして眩しいです。夏の終わりに見ると少し切ない気がします。

2012年8月28日火曜日

The Virgin Blue, Tracy Chevalier




【書誌情報】
Tracy Chevalier, The Virgin Blue, Penguin Group, 1997

【あらすじ】
エラ・ターナーは夫の仕事に伴い、カリフォルニアからフランスに渡る。助産師の仕事を再開するため、フランス語を勉強する傍ら数百年前にその地に住んでいた先祖について調査をし、調査に協力してくれた図書館員と親しくなる。16世紀に生きたエラの先祖、イザベルもまた産婆の技術を持っていたが、不運な結婚をして夫から仕事を禁じられる。イザベルの夫の家族の家には、ある秘密があり、それゆえに家が何十年間も安全に守られてきたのだという。家族はユグノーだったため、迫害を恐れてイザベルと夫は子供たちを連れてスイスに逃亡する。故郷との違いに戸惑いつつもスイスでの生活が安定してきたところに…

【コメント】
 トレイシー・シュヴァリエの第一作です。『真珠の耳飾りの少女』よりも2年前に出版されました。現代のフランスに生きる、アメリカ人のエラと、400年前に生きたその先祖のイザベルの物語が交互に語られます。

時代設定が100年以上昔の場合、シュヴァリエは必ず女性に対する抑圧に言及し、男社会に対する憤りが感じられます。その反動か、現代人のエラは与えられた権利と立場を最大限に利用する、トンデモナイ人として書かれています。専業主婦なのに料理もせず(でも食器洗い機は買う)、夫の出張中は不倫に励み、手土産も持たずに会ったことのない親戚の家に押しかけ、挙句の果てには…!読んでいるうちに、このロクデナシぶりがむしろおもしろくなってきます。

対照的にイザベルの方は夫と姑に仕え、自由がありません。家族の死、不幸な結婚、迫害など、大変なことの連続です。試練に耐えると、次にもっと大きな試練が襲います。影と光のような二人のヒロインですが、「赤毛」、「産婆」、「青い布」など、いくつかの点でリンクしていて、イザベルに導かれるようにしてエラは遠い先祖の秘密を知ります。

同じ作者の他の作品と比べると、少し粗さが目立つ気がします。おもしろいことはおもしろいですが、人物描写が極端過ぎて、ややフラットに感じます。青い色や髪の毛を隠すターバンは、第二作にも共通するモチーフであり、特に「青」はシュヴァリエのどの小説でも要所に使われています。

トレイシー・シュヴァリエの公式サイトです。 来年には新刊が出るようです。

表紙絵は赤毛が印象的な美人ですが、内容とは関係がありません。

 

2012年8月26日日曜日

よんれつ

武蔵小杉ブログ」より拝借
「武蔵小杉のポスターが話題になってるらしいんよ」と夫が言いました。「すごいポスターですか?」と言ったら「いや、わしが描くマンガに似とるで」と言うので、調べてみました(「武蔵小杉ブログ」)。「確かにあなたの絵に似てますね」と言ったら「じゃあわしも描くわ」と言って、描いてくれました。


アメリカ人は電車に乗るとき整列しません。電車は日本よりも空いていて、ちょっと日本のことを知っているアメリカ人は必ず、あのラッシュ時に押し込むアレを話題にします。

NARA公園のピクニック




夫と一緒に参加していた無料の英会話グループ、English at Large主催のピクニックに行きました。場所はアクトン市の北アクトンレクリエーション地域North Acton Recreational Area通称ナラ公園です。鹿は飼育されていませんが、付近の道路には鹿注意の標識が出ているので、野生の鹿が出ても不思議はありません。

人工ビーチで水泳や、ハイキングのできる公園です。ボランティアの先生と生徒が半々くらいで参加していました。料理は一品持ち寄りでした。私はローストチキンとマッシュポテトを持っていきましたが、もっと日本的なものを持って行った方が良かったようです。中国の人が多かったので、餃子が数種類ありました。中国の餃子は日本の物よりも皮が厚いみたいです。持ち寄りだといろいろな物が食べられておもしろいですが、この時期に外で食べるということはハエが寄ってくるということです。かといって、ハエが寄ってこない時期は外で食べるには寒すぎるので難しいです。

食べ物のことはさておき、初対面の人と話したり、スクラブルをして遊んだりしました。英語の上達という共通の目的を持っているので、分かりやすく話し、一生懸命聞いてくれるので話しやすいです。日本にも滞在経験のある中国人が数人いて、日本語でしゃべり、「日本大好きです」と言っていました。お礼に中国語で話せると良かったのですが…。
先日、日本に留学経験のある学生と話しました。その人は「日本人とアメリカ人だと、外国人に対する受け入れ方が違いますね。日本人は結構興味を持って親切にしてくれる人が多いけど、アメリカ人は英語は話せて当たり前と思っているから、英語がうまくない相手と話をする忍耐力を持っていないことがあって、それは多分に経験不足からそんな態度をとってしまうんだと思うけど、もったいないよね」と言っていました。

来学期もEnglish at Largeの英会話グループに参加しましょう、と夫と話しました。

2012年8月24日金曜日

新しいフードプロセッサー


日本から持ってきたフードプロセッサーが壊れたので、新しいのを買ってもらいました。旧フードプロセッサーはもともと祖母の家にあったのを母がもらってきて、結婚するとき私が譲り受けました。私は渡米前フルタイム労働者でしたが、食事はなるべく家でしたいし、出前なども取らないので、一刻も早く料理をしたく、フードプロセッサーは頻繁に使いました。色々な野菜の微塵切りが必要なミートソースの作成などで特に良く活躍しました。

微塵切りに便利

シナモンロール

大根サラダ。アーモンドの微塵切りに使用
 新しく買ったのはクイジナートの製品です。アメリカの家電製品はだいたいが日本よりも性能が落ちます(例:掃除機…音が大きいだけでゴミを取らない、洗濯機…洗う前よりも汚くなる、水をちゃんと絞らない等々)が、調理の便利グッズは結構いいものがあるようで、クイジナートは日本でも評判が良いみたいです。アメリカのメーカーなので、日本で買う場合の3分の1〜4分の1程度の価格で買うことができ、なかなか良いタイミングで壊れたなぁ、と内心喜んでいます(悪い)。旧フードプロセッサーと違い、パンこねもできます。

なお、フードプロセッサーにはスライス、千切り機能も付いていますが押しつぶすように切るので、大根のような水分の多い野菜には向かないようです。

2012年8月21日火曜日

ヒギンズ甲冑博物館

ヨロイ同好会の皆さん
ヒギンズ甲冑博物館は、鉄製品で財をなしたヒギンズ氏のコレクションを展示しています。甲冑や剣、槍などがあります。私は特に甲冑マニアというわけではありませんが、いつも私の行きたい場所にばかり連れて行ってもらっているので、夫の好きそうな博物館も勧めてみました。

夫はノリノリで写真撮影をしたり、甲冑の腕の部分を着けてみたりしていました。全身の鎧をお試しで着けることはできないので、そのことが心残りだったそうです。ガイドのお姉さんが言っていた「ヒギンズ氏は自分で鎧を着ることも好きで、娘のボーイフレンドが遊びにきたときは鎧を着けて対面して驚かせました」という逸話がおもしろいです。展示を見ていると、アーサー王と円卓の騎士の物語を思い出しました。子供の多い博物館でした。

2012年8月20日月曜日

Worcester旅行

ボストンから西へ約70kmほどの所にある、Worcesterウースターに行きました。ボストンに次ぐマサチューセッツ州第二の都市です。

ウースター美術館は、8月いっぱい入館料が無料でした。


5世紀アンティオキア製、モザイク。狩りのシーン
招き猫「ようこそ」
ゲインズボロの娘たち
小さめの美術館ですが、ルーベンス、モネなどの作品もあります。コレクションすべてを展示しているわけではなく、倉庫にしまっているのもあるようです。わけの分からない現代美術はいいから、美しいものを見せて欲しいと思いました。途中からカメラがなぜか風景撮影モードになっていて色が変になってしまい、 もったいないことをしました。

透き通る果物
果物や花の静物画は、リアルに見えても本当はすべてが同じ時期に収穫できるわけではないので、実際にはこんなふうに盛り付けたのを写生してはないことが多いそうです。静物画にあまり興味はなかったのですが、2008年に東急文化村で開催されていた「アンカー展」で静物画を見ていたら、描かれた食べ物の味がかすかに自分の舌に想起され、以後、「この絵を見て花の香りや果物の味が自分の感覚として感じられるだろうか」という観点で見るとなかなか静物画もおもしろいと思うようになりました。絵画作品の価値とは無関係に、そういう感覚を得られない静物画も多くありますし、印刷ではなかなかその感覚は起こりません。



私の持っているビング&グレンダールの花瓶に少し似ている花瓶がありました。昼食を食べた後、ヒギンズ甲冑博物館へ行きました。

2012年8月19日日曜日

Falling Angels, Tracy Chevalier

サフラジェットの皆さん 1913年

【書誌情報】
Tracy Chevalier, Falling Angels, Penguin Group,2001

【あらすじ】
1901年、ヴィクトリア女王崩御の日に墓地で出会ったコールマン一家とウォーターハウス一家には、共に5歳の娘がいた。近所に住んだことをきっかけとして交際し、少女たちと墓堀人の息子は墓で遊ぶようになる。美人で知的なキティ・コールマンは主婦として家庭生活に不満を持ち、墓地の管理人と不倫の関係に陥る。婦人参政権運動に参加し、家族をも巻き込むようになり…

【コメント】
トレイシー・シュヴァリエを読むのは3冊目です。不倫、犯罪、死などをややセンセーショナルに書き過ぎているきらいがありますが、文章は読みやすいです◎

1890年〜1940年頃は社会、思想、技術、文化等々あらゆる面で急激に変化し、19世紀の閉塞感、伝統的な価値観と新しい価値観が入り交じっていて、その時代を舞台にした小説はおもしろいものが多いです。1950年代以降になると、なんとなくエレガントな雰囲気が失われていくように思います。

この小説の時代設定はエドワード朝です。モードとラヴィニアの二人の少女、対照的なその母親たち、使用人、父親など、複数の人々によって物語が語られます。特に少女たちの部分が少女小説か少女マンガ風で楽しいです。一人は思慮深く温厚、もう一方は虚栄心が強く独善的で、お互い共感できる部分はあまりないのに、なかなか離れ難い関係を書いています。婦人参政権運動の恩恵は私自身も受けていますが、その運動にのめりこみすぎて周りが見えなくなると身近な人は大変です。また、使用人の「あの人たちは教育を受けた一部の女性のために運動をしているだけで、私たちのような働く女性の意見を反映しようとはしていない。にもかかわらず運動のために寄付をするように要請された」という指摘もあって皮肉です。

イギリスで男女平等の普通選挙が実現したのは1928年のことでした。アメリカは1920年、日本は1945年、そしてスイスでは1993年まで普通選挙ではなかったそうです(出典Wikipedia先生)。タイトルの「天使」はウォーターハウス一家の墓に取り付けられた天使の像を連想させますが、ヴィクトリア朝に女性の理想とされた「家庭の天使」の転落をも示唆しているように思います。

2012年8月17日金曜日

Pluot スモモとアンズの子供

ひいおじいちゃん、おじいちゃん、お父さん、息子
スーパーマーケットで色々な種類を売っていたので、プルオットを買ってみました。plumスモモとapricotアンズの交配種で、pluotプルオットと言うそうです。むりやり日本語訳するならスモズでしょうか。スモモ:アンズの割合は3:7だそうです。

アンズは全体にオレンジ色のものしか見たことがありませんが、スモモは種類が多く、赤、ピンク、紫、緑など外見、大きさも様々です(参考)。プルオットも外見はスモモの特徴が強く出ているようです。皮もスモモに似てツルッとしています。

食べてみると味も食感もスモモに近い印象でした。スモモよりも酸味が少なく、甘いです。そう言われてみれば少しアンズのような香りがするかも?というくらい、アンズが親であるということは感じさせません。品種による味の違いはあまり分かりませんでした。

日本では法務の仕事をしていました。特許関係の業務も少しありました。植物の新品種の開発はありませんでしたが、勉強会に行ったとき特許法関係の講義で、種苗法についても少し教わりました。新品種を開発し、それを種苗法に基づき登録するため出願する場合、種を1000個提出(キノコの場合は試験管5本分の菌株)する必要があります。種をまいて収穫を待っていると時間がかかってしまうので、特許庁の人が開発者の所へ実物を見に来ることもあるそうです。特許の手続きは複雑で手間がかかり、クレームも頭が痛くなるような難しいものでしたが、新品種登録はおもしろそうだと思いました。

将来、日本にプルオットが輸入されることはあるのでしょうか。プルオットはスモモよりもおいしかったですが、日本の白桃には及びません。

2012年8月15日水曜日

読んだ本 2冊

画像はイメージです
  1. Sarah Orne Jewett, Betty Leicester: A Story for Girls, Houghton-Mifflin, 1890
    【あらすじ】
    母をなくし、博物学者の父と二人で暮らすベティ・レスターは父がアラスカに滞在する間、ニューイングランドの二人の大叔母の家に預けられる。その地の子供たちと仲良くなり、お茶会、秘密クラブ、ピクニックなどをして過ごす15歳の夏。

    【コメント】
    少女小説です。子供向けに書かれているため、読みやすいです。
    この小説の主人公のベティは素直な良い娘で、お父さんや大叔母さん、友達などもいい人がほとんどで、特段困るようなことも起こりません。一方で人々から嫌われる、村の犯罪者は脱走に失敗した挙句死んでしまうなど、安直さが目立つ部分もあります。ジュエットの短編は繊細な水彩画のような印象を受けるのですが、本作はどうも手加減して書いているのか、ポスターカラーで陰影を付けずにベタッと描いたような感じで、あまり印象がよくありません。

    文章の簡単さに惑わされず、もう少し内容がおもしろそうな本を選んで読まないと、洋書の読書は時間がかかるのでもったいないと思いました。もっと読む速度を速くすればすむことですが…
  2. Edith Wharton, Summer, Charles Scribner's Sons,1917
    【あらすじ】
    チャリティ・ロイヤルは幼い頃、村の成功した弁護士の養子となった。成長すると村の図書館で働き、ある日出会った若い建築家と恋をする。養父に結婚を迫られ、断って建築家と交際するが、建築家には婚約者がいた。

    【コメント】
    全体の半分くらいしか読んでいません。途中でWikipediaの細部まできっちりとネタバレしているあらすじを読むと、それだけで十分お腹がいっぱいになってしまいました。先がまったくおいしそうな感じではないのでした。裏切りと失望と落胆の物語をがんばって読むこともなかろう、と思いました。
なお、上記2冊の本はキンドルで無料でダウンロードできます。

2012年8月13日月曜日

Woburnのファーマーズマーケット

すべてトマト
ファーマーズ・マーケットに行きました。前回は6月に行きましたが、その頃より暑くなったので、作物も増えているかしらと思ったからです。でも、行ってみると出店は8くらいしかなく、そのうち生鮮食品を販売しているのは4くらいで、他は(あまり格好良くない)手作りアクセサリーとかローソクなどを売っていました。帰宅してから夫が、「あの猫のローソクかわいかったね。欲しかったわぁ」と言っていました。これまでにファーマーズマーケットはたまたま通りかかった所で開催していたのも含め、4つ見ましたが出店者はほとんど同じなので、地域内を巡回しているのだと思います。私が見た中で一番大きかったのは、ボストン公立図書館とトリニティ教会の間にあるコプレー・スクエアで火・金曜日に開催しているファーマーズマーケットでした。そこでも、販売している物は農産物と手作り食品が半々くらいでした。

昔カリフォルニアに住んでいたことがあって、その時は子供だったのであまり記憶は定かではありませんが、夏には毎週のようにファーマーズマーケットに出かけ、かなり広い場所にズラ-っと並んだテントで、たくさん買い物をしていたように思います。カリフォルニアとマサチューセッツでは事情が違います。建物がきれいだし、美術館などの文化施設も充実していて、ニューヨークも近く、私はボストンの方が好きですけどね。


早生マッキントッシュを買ってもらいました。スーパーで買うとリンゴにワックスが付いていますが、これは粉を吹いていておいしそうです。食べてみるとすこし渋く、はしりのリンゴらしい味がしました。


2012年8月12日日曜日

CCAEのTOEFLクラス

YMCAの英語講座が終了した後、ハーヴァード駅近くのCambridge Center for Adult Education(CCAE)でTOEFL対策のクラスを受けました。週1回、3時間×9回で、受講料は約200ドルでした。土曜日のクラスだったので、夫も一緒に受けました。

テキストはBarronのTOEFL対策のものを使いました。テキスト自体はなかなか良いものだと思うのですが、授業は先生がテキストを読み上げたり、テキストの問題を生徒に解かせ、みんなで巻末の答えを見て答え合わせをする内容で、ほとんどが自学自習できる感じで、あまり効果的ではありませんでした。スピーキングやライティングの練習をしても、"Good."と言われるだけで、練習の仕方とか、改善点の指導などはしてもらえません。授業料を払い、遠くから通学しているのでそれに見合う内容の授業をして欲しいものだ、と思いました。YMCAのクラスメートがCCAEのTOEFL対策を勧めてくれたのですが、その人は違う先生に習っていたようです。開講当初は12人程度いた受講生は、授業の最終日には3人に減っていて、授業に全回出席したのも夫と私だけでした。

きっちりした標準がある英語学校などではないので、先生によって当たり外れが大きいと思います。講座終了後に受講生がレビューをする制度はありますが、レビュー内容は開示されないので、結局は運が良いか悪いかで決まってしまうようです。

加えて、この組織の建物は外から見るとなかなか風格があるのですが、とても古いので、中は風通しが悪かったり、照明が暗かったりして、環境もあまり良くありません。授業料を出してくれて、毎週運転をして、授業にも付き合ってくれた夫にいろいろと申し訳ないな、と思った次第です。

2012年8月11日土曜日

美しいえびせん


 日本から、えびせんの詰め合わせを送っていただきました。ゴージャスでとても美しいえびせんです。きれいにきちんと被われた包装紙、箱、お菓子のしおり、絵が描いてあったり、海苔をはさんで渦巻きにするなど目にも楽しくしてある細工、繊細なおいしい味など、何もかもが日本らしくて、うれしく頂きました。


朝顔の絵は包装に印刷されているのではなく、お菓子に印刷されています。すごいわぁ。そして上品です。アメリカにもデコレーションされたお菓子はたくさんありますが、原色フードカラーを山ほど使って、こんなのとか作りますからね。


箱も美しいので、食卓に置いて食べ物の汚れが付く事態を回避するため、早速中身を出して


コレクションの白ハンカチを入れました。 大きい箱なので、小さめのハンカチならたたまずしまうことができます。夫もえびせんは大好きなので、少しずつ、大事に頂こうと思います。

2012年8月6日月曜日

日本のファッション雑誌と付録


美しくないけど、役に立つ
夫の勤務先が海外駐在員に1ヶ月1000円以内の日本の雑誌を送ってくれます。夫が「あなたの好きな雑誌にしてええよ」と言ってくれました。インテリア雑誌がいいな、と思ったのですがインテリア雑誌は送付雑誌の条件に合わないため、毎月『Spur』(集英社)を送ってもらっています。きれいな写真が多いので見ていて楽しいです。私はまったくオサレではないのでファッション雑誌を見て服装の参考にすることはありません。

実用書や小説だけでなく、雑誌を読みたいという気分はあります。でも、消費を促進する意図で作られた写真の多い紙なら何でも良く、最新号である必要もないので、日本にいるときは駅や本屋さんで配っているフリーペーパーを読むか、まれに中古雑誌を買うくらいでした。前の持ち主が雑誌の上で散髪したらしく、中古雑誌のページの間からかなりの量の切った毛髪が出てきてギョッとしたことがあります。古本の間からお札やラブレターが出てくるような「いい話」はなかなかないものです。雑誌を定期購読して毎月最新号が読めるというのは私には大変な贅沢に思えます。

7月号の『Spur』には付録でお弁当カバン(雑誌には「ランチボストン」と書いてあった)が付いていました。ちょっと稚拙で美しくない花模様ですが、内側に銀色の保冷素材が張ってあり、大きめのペットボトルも入るサイズで役には立つのでとりあえず家に置いておくことにします。夫が会社にお弁当を持って行くのに使っています。

色彩がよく美しい花模様の例


キンブル農場

その名を和訳してはいけない
 マサチューセッツ州北部のウェストフォードにあるKimball Farmキンブル農場に行きました。夫が割引券をもらったからでした。昔は農場だったのでしょうが、現在はゴルフの練習場やゴムボートなど、小さめのアトラクションのある遊園地のようなものです。

夫はバッティングセンターで野球の練習をしました。子連れで賑わっていました。

ゴルフの練習。広いのでネットは付いていない
ゴムボート
ゴムボートはエンジンで動くもので、50メートルプールくらいの広さの池でお互いにぶつけ合って遊びます。楽しそうでしたが、大人二人ではしゃいでびしょ濡れになるのもはばかられたので、見物だけにしました。

 キンブル農場名物のアイスクリームです。夫はバニラアイスクリーム、私はオレンジシャーベットにしました。sherbetとsorbetがあって、前者には乳製品が少し含まれるけれど、後者には含まれないそうです。アイスクリームは色々種類がありますが、シャーベットはオレンジとイチゴしかありませんでした。サイズはkiddy, small, mediumとあって、言うまでもなく一番小さいkiddyを注文したのですが、日本で言うならXLや3Lくらいの大きさで、とても食べきれませんでした。普段カップ入のアイスクリームを買って、自分でよそって食べる場合の8倍ほどの量が入っていました。公式HPのお姉さんたちはすごい量のアイスクリームを抱えているので、先行き不安になります。隣では乗馬体験をやっていました。普段あまり買い食いなどはしないため、なかなか特別な感じがありましたが馬小屋臭いのはいただけません。

お土産屋さんを冷やかした後、暑いのでそのまま帰宅しました。

2012年8月4日土曜日

ネクタリン

There was now employment for the whole party—for though they could not all talk, they could all eat; and the beautiful pyramids of grapes, nectarines, and peaches soon collected them round the table. (Jane Austen, Pride and Prejudice)
日本のスーパーに売っているのを見たことがありませんが、アメリカでは一般的なネクタリンです。日本のモモとスモモの中間のような味で、果肉は固めです。夫はあまりおいしくないと言いますが、私はアメリカで買える桃系の果物の中ではネクタリンが特においしいと思います。日本語では「ズバイモモ」というとても変な名前が付いています。日本のように甘く、香りの良い白桃は売っていなくて、小さく、香りと甘味の薄い黄桃が一般的です。白桃もたまに見かけますが、もっと小さく味も日本のものとは異なります。酸味が強いためパイなどに調理して食べることが多いようです。スモモは日本のものより大きいですがやはり味は薄いです。値段は日本で買う場合の半額程度だと思います。

私は一応簡単な英文は理解しているつもり(?)ですが、ジェーン・オースティンはお手上げです。employmentてナンデスカ?(「役割」かな?)

2012年8月1日水曜日

The Lady and the Unicorn(本)



【書誌情報】
Tracy Chevalier, The Lady and the Unicorn, Penguin Group, 2005

【あらすじ】
『真珠の耳飾りの少女』のトレイシー・シュヴァリエによる、「貴婦人とユニコーン」(フランス、クリュニー美術館所蔵)のタペストリーにまつわる歴史小説。細密画家のNicholas des Innocent(フランス語なので読み方分からず)は裕福なジャン・ル・ヴィストからナンシーの戦いをテーマとしたタペストリーの原画を描くよう、注文を受ける。しかしル・ヴィスト夫人からは「戦いではなく、貴婦人とユニコーンのタペストリーを」と所望される。ドンファンのdes Innocentの、女中、ル・ヴィスト嬢、タペストリーの織師の盲目の娘等と恋愛遍歴を描く。タペストリー作成をめぐり、画家、注文主の夫人と娘、ブリュッセルの織師とその家族らにより物語が展開する。

【コメント】
「貴婦人とユニコーン」のタペストリーについてはジャン・ル・ヴィストが発注したということ以外は不明な点が多く、この小説はほぼ完全なフィクションです。

本書の一番良い点は読みやすさです。身分や職業、性格、住む場所の異なる7人の語り手に視点が次々と移り変わり、色とりどりな感じ飽きさせません。文章も平易で、あまり辞書を頻繁に引かなくても読めます。ドンファンの細密画家の恋愛模様を中心に展開し、それはそれでおもしろくはありますが、盲目の少女の世話する庭や、ル・ヴィスト嬢が修道院で赤ちゃんと遊ぶ場面が印象的です。若く、あまり賢くない衝動的なル・ヴィスト嬢ですが、最後に感動的なことをするのがなんとなく映画のようだと思いました。

ただ、この本の困ったところは登場人物の性格に結構イヤなところがあって、ワクワクしながら読むけれど、後味があまり良くないことです。

『真珠の耳飾りの少女』と同様、美術品の製作にまつわるストーリーですが、興味深いのは二つの小説における「青」の扱いです。『真珠の耳飾りの少女』では、青は高価なラピスラズリを原料とする憧れの色です。一方、本書では青い糸は「大青」により染められ、染料を繊維に定着させるために羊の尿が用いられます。これを扱う商人は臭いとその厚かましい性格のため、織師の一家から嫌われる存在です。彼らがタペストリーに青を多く使うことを好まなかったので、タペストリーは青の面積を少なく、赤の部分の面積を多くした旨の記述があります。

なお、トレイシー・シュヴァリエというのはフランス人のような名前で、本書もフランスとベルギーが舞台となっていますが、作者はアメリカ人です。それと、「真珠の耳飾りの少女」は現在東京都美術館で見られるようです