オスカー・ワイルド「幸福な王子」の考察


英語を流暢に話せるようにするために、内容が簡単な文章の音読をすると良いですよ、と英語の先生に勧めていただき、夫と朗読の練習をしています。今読んでいるのはオスカー・ワイルドの短篇集です。'The Happy Prince'「幸福な王子」を読んでアンデルセン童話に影響を受けているのだろうな、と思いました。私は教養がなく、アンデルセン童話もあまりよく知らないので以下の類似しか見つけることができませんでしたが、他にもあるのかもしれません。

【マッチ売りの少女】
「マッチを売らないと父親に叩かれる」気の毒な少女のもとに、ツバメが幸福な王子の目にはめ込まれたサファイアを届けます。マッチ売りの少女の話は悲しすぎて、奇跡が起こって宝石でも降ってくればいいのに、と思わせるものだと思います。

【ツバメ】
南の国に憧れ、自分を犠牲にして他人のために尽くすツバメは「親指姫」にも登場します。オスカー・ワイルドのツバメは南国にたどり着くことができず、死んでしまいます。親指姫のツバメは失恋して、好きだった親指姫の結婚式で悲しい気持ちで楽しい歌を歌います。

【愛されたもの】
アンデルセン童話の「モミの木」はクリスマスには色々なオーナメントを飾られ、もてはやされましたが、クリスマスが終わると捨てられてしまいます。幸福の王子の銅像は金箔や宝石で飾られていたときには街の人々から愛されていましたが、飾りがなくなると無残に捨てられます。

【眠りと死】
「死は眠りの兄弟」という記述が「幸福な王子」にあります。おそらく、このことは一般的に言われているのだろうとは思いますが、私はアンデルセンの「オーレ・ルコイエ」で眠りの神であるオーレ・ルコイエ(砂男)が自分の兄弟だと言って「死」を紹介するシーンを思い出しました。

【灰の中の心臓】
幸福な王子の像は金箔がはがれて見栄えが悪くなると処分され、焼かれます。でも心臓の部分だけ焼けずに残って、ツバメの死体と一緒にゴミに捨てられます。灰の中から心臓が拾い上げられるラストは、「勇ましい鈴の兵隊」で暖炉の中でハート形に燃えずに残り、女中さんに拾い上げられた鈴の兵隊を思わせます。
 

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