カール・ラーション展@損保ジャパン美術館



損保ジャパン美術館で開催中(12月24日まで)の「カール・ラーション展」に行きました。スウェーデンの画家で、日本でも書籍が複数販売され、その愛らしさから、人気のある画家だと思います。作品の中心である水彩画は、色彩が澄んでいて鮮やかで、北欧の冷たい空気を感じさせます。家族をテーマにした作品が多いです。ラーションは8人の子供がいて、どの子もかわいいです。

カール・ラーション夫人は、画家志望のカリンで、結婚後は、自分や子供たちの服、自宅のタペストリー、テーブルクロス、クッションカバー等のテキスタイルをデザイン・製作しました。展覧会には、服やテキスタイルの展示もありました。オリジナルは、布が経年劣化しているため、カール・ラーション記念館のスタッフや、ラーションの子孫が復刻版を製作し、それが展示されています。

本のイラストや、ラーションの家で使用していた家具・布の展示が多く、水彩画がもっとあると良かったのに、とは思いましたが、ラーションの暮らしぶりをイメージさせる展示ではありました。ラーションは、工場で大量生産される家具調度を嫌い、自宅の改装を自ら手掛け、日常生活に美しい手仕事を取り入れました。ウィリアム・モリスのアーツ・アンド・クラフツに通じるのだろうと思います。ジェーン・モリスも、カリン・ラーションのように、夫の絵画のモデルを務め、タペストリーの製作も行いました。ラーションはスウェーデンのウィリアム・モリスなのかと思いましたが、モリスは生まれが裕福で、ラーションは貧しい出自だったそうで、そのせいかどうかは分かりませんが、モリスは重厚、ラーションはもっと軽やかで簡素です。しかし、幸福感にあふれていて、明るい感じがあります。

また、彼の絵は、どうにもSNSを思わせるものがあります。例えば「うちの妻、タペストリー作った。めっちゃ器用」とか、「DIYの家♡」とか、「家族でザリガニパーティした。たくさん釣った」というようなコメントを付け、投稿する度に10万くらい「いいね!」が付くイメージです。

ラーションは、大量生産のものを嫌ったにもかかわらず、展覧会の終わりには、安価な大量生産の代表格のようなイケアの家具が、「イケアの家具もラーションのデザインの影響を受けています」と展示されているのがちょっと可笑しかったです。

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