2017年12月9日土曜日

1年と3年を振り返る

リスボン
映画『アンジェリカの微笑み』的な





気が付いたら12月になってしまいました。今年の目標達成度は5段階で3くらいでした。
  • 「すぐやります」と言わない。⇒ほとんど言っていません。「そんなことを言う前に、『もうやりました』という既成事実を作ってしまえばいいんだ!」結果、「そんなに急いでやらなくていいからね」と言われるようになりました。
  • 「私がやっておきますね」と言わない。⇒ほとんど言っていません。「そんなことを言う前に『私がやっておきました』という既成事実(以下略)」
  • 期限ブッチ切り回答を常態化させない。⇒順調にブッチ切っていました。1週間以内にやるように言われたことは1週間でやればよいのであって、その日のうちに済ませる必要はないのに。好きな言葉は前倒し。
  • 明日できることを今日やらない。⇒明日できることを今日はやりません。明日すべきことは5日前に既に終わらせているから。
2014年の12月に仕事を始めました。3年前の就職活動の時に、「旦那さんの収入で十分暮らせるのに、なぜわざわざ(専業主婦をやめて)就職するんですか?」と尋ねられることがありました。男性に対して、「奥さんの収入で十分暮らせるのに、なぜ働くんですか?」という質問をすることはまずないと思うので、釈然としませんが、その時は「自分の生活費は自力で得たいと思うからです」と答えていました。今、同じ質問をされたら「楽しいからに決まっています」と答えます。ブランクがあるにもかかわらず、希望の法務職として拾って頂き、新しい職場は親切な方ばかりで、英語を使う機会もあり、うれしかったです。日々、諸先輩を仰ぎ見て、100年たっても到底あんなふうにはなれないな、としょんぼりする一方で、最近は、「その仕事の速さはちょっと真似できない」、「これほどの適材適所はない」、「法務部にはpunkaさんという人が2,3人いるのかと思っていた」等と言って頂けるようになりました。毎週、金曜の夜には夫に「今週も楽しかったです。嫌なこともあまりありませんでした」と言っている気がします。何も特別なことはなくても、家族にそのように報告できる1週間が蓄積されて行くことが一番だと思っています。




夫は秋以降は毎月のように海外出張がありました。流石のグローバル人材です。出張先のポルトガルから写真を送ってくれました。どんなところか、イメージも付かなかったのですが、写真を見て、いつか行きたい憧れの場所になりました。中継のヒースロー空港から、「ハロッズの売店でお土産買う?」と連絡をくれたのですが、紅茶150gよんまんごせんえんと言い、そんなものを買ったら我々の冬季賞与がスッカラカンになってしまうので、お気持ちだけで結構です、と言いました。あまりに高いので、頭に来て、三越に行って散財しました。フォートナム&メイソンの紅茶と、パッケージのきれいなクリスマスのお菓子を買いました。ヒースローの1/15以下でこんなに良いものが買えるとは。お菓子の紙袋は、捨ててしまうのがもったいないので、絵の部分を切り取って、本棚に貼りました。

2017年12月2日土曜日

東京ジャーミイ


 「もし、あなたにあらゆる能力が備わっていて、どんな勉強でもできるとすれば、何を勉強しますか」という質問を、家族や親しい友人にしてみると、ほぼ間髪を入れずに、思いも寄らなかった答が返ってくるのでおもしろいです。私は、もし数学的な能力があれば、建築を勉強してみたかったです。建築を勉強することは適いませんが、美しい建物を積極的に見に出かけたいと思っています。

東京ジャーミイは代々木上原駅の近くにある、日本最大のイスラーム礼拝堂です。夫に「モスクに行ってみようと思います」と言ったら、「イスラームに入信するんやな。ええと思うわ」と言われました。甚だ不信心ではありますが、建物目的であって、入信目的ではありませんでした。

ドームにモザイクが施され、ステンドグラスから外の光が差し込む礼拝堂でした。イスラーム建築は、西洋建築とはかなり違う特色があるようです。画像検索すると、豪華絢爛な写真が検出され、くらくらします。本場のモザイクは、東京ジャーミイよりも100倍くらい模様が細かく、凝ったデザインですが、東京ジャーミイのモザイクやステンドグラスも、すっきりとして控えめで、美しいと思います。

訪問した日は、バザーが開催されていて、礼拝堂では子供たちがコーランの暗誦をしていたので、早々に退散しました。礼拝中は写真撮影は禁止なので、じっくり見学で来そうな時間帯を見計らって、再訪したいと思いました。


バザーで、カルダモンとダマスクローズのドライフラワーを購入しました。バラは、名前のとおり、シリアから輸入されたものです。琴ペンの卵立てに飾りました。東京で見られるイスラーム建築きれい!のようなミーハー的な感想に留まらないで、西アジアの情勢や、何が問題となっているのか、もっと関心を持たないといけないと思いました。

2017年11月12日日曜日

駒井邸、神戸文学館



ウィリアム・メレル・ヴォーリズに憧れ、京都にある駒井邸は数年前から行ってみたいところの一つでした。せっかく京都に行って、他にたくさんの名所があるにもかかわらず、駒井邸だけに行くのも勿体ない気はします。ヴォーリズ建築の個人宅で、内部を見学できるものは多くないです。すぐ近くには銀月アパートメントもあり、こちらも憧れの建築です。

京都駅からはかなり距離があり、バスに1時間以上も乗って、降りたバス停が「上終(かみはて)町」だったので、なるほどと思いました。


駒井邸は駒井卓教授と夫人の夫婦2人で住んでいたようで、2人で住むには大きいですが、豪壮な邸宅ということはありません。敷地は900平米で庭が広く、建物の延床面積は150平米程度のようです。藤棚のあるポーチ、サンルーム、窓の形などに特徴があります。端正な雰囲気と思いました。


夫に「こういう家に住みたいと思うんです」と言ったら、「このくらいなら、場所を選べば可能やと思うわ」とのことでした。私が突飛なことを言ったり、夢物語を語ったりしても、即座に否定したりしないのが夫の良いところです。


翌日は、神戸の文学館へ行きました。建築はヴォーリズではありませんが、戦争で破壊された後の修復は一粒社が手掛けたとのことです。こちらも美しい建築でした。観光客も少なく、静かで良い所でした。

2017年10月8日日曜日

いちご泥棒


予定を詰め込みすぎたのが悪いのですが、KOの週末スクーリングと夜スクーリング、仕事、国内出張等の諸々が重なり、月月火水木金金状態でした。通常、買い物は壊れたり不足したりして補う目的でするのであり、あってもなくても良いけれど、欲しいものがある場合は、少なくとも2週間は考えてから買います。今回は、色々あったところに、デパートで英国フェアを開催していたので、「美しい、無駄な買い物をしましょう」と思いました。2周して、ウィリアム・モリスの「いちご泥棒」の鞄を買うことにしました。

「いちご泥棒」は、
「…各色を個別に染め、刷り、抜くという非常に高度なプリント技法が生み出された。プリント工程全体の完了には数日を要するこのファブリックは、モリス商会のプリント木綿の中でも最も高価なものとなった」(ウィリアム・モリス出版委員会『ウィリアム・モリス ステンドグラス・テキスタイル・壁紙 デザイン』 、ブレーントラスト、2006年)
というものです。 色数が多いですが、全体のバランスが良く、落ち着いた雰囲気だと思います。

バックオフィスなので、服装や持ち物の規制は厳しくなく、通勤に使うことができ、無駄な買い物ではありませんでした。「見れば見るほど良い鞄だ」、「こんなに良い買い物は滅多にできるものではない」と悦に入っています。B4まで入り、ファスナーで閉めることができます。ジャガード織かゴブラン織の生地で(私には違いがよく分かりません)柄が立体的に織り込まれているところも気に入っています。カーテンや壁紙とは行きませんが、モリスは画集などを眺めるだけではなく、実用に取り入れたいものです。

2017年8月26日土曜日

ツバメと洋白銀器




ツバメの巣

ツバメを見ると、良いことがあると信じています。駐車場の天井の、謎の半円に、ツバメの巣を見つけました。巣の土台としてピッタリで、とても賢いと思いました(それとも、ツバメの巣専用にわざわざ半円を設置したのでしょうか)。ツバメのブローチを長い間探していたところ、先日、小さなピンバッヂを買いました。無地の青いセーターに合わせます。

ふるさと納税

 欲しいものを買ってあげるよ、と言われたら、欲しいものは自力で買えるので、お気持ちだけで結構です、と言うのですが、夫が「わしの分のふるさと納税の枠、使っていいよ。何でも好きなものもらい」と言うので、大喜びでもらいました。秋から返礼品の規制が適用されますから、(欲深いですが)還元率の高いものを選ぼうと思いました。

食器は中古で気に入ったものを揃えましたが、カトラリーはステンレス製の頂き物だったので、もう少し良いものが欲しいと思っていました。新潟県燕市から、洋白銀器(=銀メッキ)カトラリーを頂きました。西洋の紡ぎ車を思わせるデザインです。写真で見てもよく分かりませんが、銀の色はステンレスとはかなり違います。洋白銀器とステンレス洋食器の見た目の違いについて。還元率は98%でした。私の金銭感覚だと、この価格のカトラリーを買うということは絶対にないので、うれしいです。純銀ではなく、最高級品とはいえませんが、純銀のカトラリーに相応しい料理など作れませんので、中級品を日常的に使う方が良いです。

2017年8月20日日曜日

KO通信・夏スクーリング2017

は、特にないです

 昨年に続き、今年もまたKO通信の夏のスクーリングを受講しました。3期開講され、うち1期のみ、受講しました。有休を最低でも4日間も取らなければならないところ、慶弔時でもないのに仕事をサボることはとても心苦しく思いました。文学部しか卒業していないため、「本当に大丈夫なのか」、「あなたなんかに法務が務まるのか」という反応をされることがよくあります。依頼者に、まずは不安を抱かせてしまうことはとても良くないですし、相手に対して失礼とも思うので、なんとかして早めに卒業したいと思っています。

費用

通学圏内に住んでいない人は、1回スクーリングを受けると、交通費、宿泊費、食費等々で10~20万円ほどの出費となるそうです。なかなか巨額の出費と思います。私は、昨年引越しをして、30分で通学できますし、他の学生との歓談、飲食などには全く興味がなく、弁当持参なので、授業料、交通費とテキスト代で収まります。

今年の授業

法学部の専門科目は、政治学系の他、経済学部との共通科目も多いです。経済の専門科目は全くもって理解できず、先生が話されているのが日本語なのか、●レ%$語なのかすらも分からないというくらいなので、なるべく--法という講義を受講するようにしています。--法も往々にして難しいですが、どうやら日本語で話しているらしいということは分かります。

今回の午前の、**法は、企業法務をやるなら、避けて通れない分野ですが、もともと苦手なところでもありました。それで、内容はおもしろくないし、レジュメは分かりにくく、試験は難しく、終了後にも苦手意識は払拭できませんでした。いくら6日間で詰め込むといっても、結局は概要だけだと思います。今後は**法をさらに深く理解しないと仕事にならないので、前途多難です。

午後の//法は、企業法務にはほとんど関係ありません。ただ、必修科目なので、テキスト学習の準備として受講しました。歯切れが良くて、とてもおもしろい講義でした。この3倍くらいの時間をかけて教えて頂くことができるなら良いのに、と思いました。試験問題は事前に通知されましたので、準備しておけば、特に困ることはないと思いました。

単位を落としている疑惑

これまで、KO通信の試験等の結果について書いたことはないので、単位は全部落としているのではないか、と思われるかもしれませんが、とりあえず単位は取れています。

今後のスクーリング

9月半ばからは週末スクーリングが、下旬からは夜間スクーリングが開講されます。週末と、夜間は、2回/週、白い視線を浴びながら通う予定です。過去は夏のスクーリングだけだった時期もあるようです。でも、休みを取りにくい人にも配慮してなのか、Web授業、週末・夜間スクーリングなども開講されるようになったようです。レポートの添削も、過去にはとても時間がかかったようで、学生が裁判を起こして改善されました。学生が多いせいか、使いにくい点が徐々に改善されていくのはありがたいことです。今後は、週末スクーリングの開講頻度を上げる、年末年始に冬スクーリングを開催する、などに期待しています。

2017年7月30日日曜日

ベルギー奇想の系譜(展覧会)



Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「ベルギー奇想の系譜」展へ行きました。展示内容は15世紀~現代までと幅広く、ヒエロニムス・ボッスやブリューゲルなどの精密な作品、象徴主義、逆さ吊の骨格などのわけの分からない現代アートなど、盛りだくさんでした。

ボッス、ブリューゲル

ピーター・ブリューゲル父『忍耐』1557年
ポスターやチラシに印刷されているヒエロニムス・ボッスが今回のイチオシなのだろうと思います。細部までおもしろい描写で埋められていますが、小さい絵で、人気もあって混雑しているので、オペラグラスがあれば良かったと思います。先月まで開催していた、東京都美術館の「バベルの塔」展は一人で行きましたが、今回は夫も行きました。その時と同じ版画作品も多く展示されていました。「バベルの塔」は、チラシや絵葉書を見せて、私が「モンスターかわいい、琴ペン飼いたい」と騒いで、夫に悪趣味だと言われました。実物を見ると、夫もかわいいねぇ、と言っていました。

象徴主義

ヴァレリウス・ド・サードリール『フランドルの雪』1928年、アントワープ王立美術館
~17世紀のコーナーが終わると、急に人がまばらになります。それまでの大勢の観客は、どこへ行ってしまったのか、不思議なくらいです。私はモンスターも好きですが、そればかりだと嫌で、美しいものも見たいので、素通りしたらもったいないと思うのです。ジャン・デルヴィルの「レテ川の水を飲むダンテ」は美しい夢のようですし、クノップフのパステル画はローデンバックの短編を視覚化しているし、ウィリアム・ドグーヴ・ド・ヌンクが2枚出展されていたのもうれしかったです。ヌンクは薄明かりの絵画botとしては素通りできない画家ですが、なかなかまとめて見る機会はないようです。ベルギーのクレラー・ミュラー美術館へ行ってみたいものです。

ヴァレリウス・ド・サードリールは、今回初めて知りました。静謐な冬景色を好んで描く画家です。

夫に「象徴主義って何なん?」と訊かれて答えられず、情けないことになりました。Wikipediaで調べてみると、何やら難しいことが書いてあります。「理想世界を喚起し、魂の状態の表現を特別扱いする印象や感覚を探求」??こんなこと、即答できるように準備しておかないといけないんでしょうか…

シュルレアリスム



マグリットやデルヴォーは、シュルレアリスムと美が両立していて、物語性も感じます。今回、出展されていた姫路美術館所蔵の「海は近い」(デルヴォー)も特に好きな作品です。デルヴォーの絵から、人はどんな物語を思い浮かべるのか、どうしても知りたくて、本を買いました。
  • ミシェル・ビュトール『ポール・デルヴォーの絵の中の物語』
    内容は少し難解ですし、図版が白黒なのが残念ですが、オンラインで画像を参照して、雰囲気だけでも楽しめればよいかと思います。
  • アントワーヌ・テラス『ポール・デルヴォー』
  •  長野まゆみ『夜間飛行』
    軽めの小説です。デルヴォーの他、ジョゼフ・コーネルの箱の写真なども掲載されていますが、絵と内容があまり合っていない気がします。

現代アート

 特にコメントはありません。




2017年7月2日日曜日

驚異の部屋に相応しい絵


驚異の部屋は博物館・美術館の原型なので、絵画も陳列されます。好きな絵を陳列すれば良いのですが、驚異の部屋に似合う絵と、そうでもない絵があると思います。驚異の部屋向きな絵とはどんなものか、考えてみました。気分の問題ですが、額装して、毎日目にするので、リトグラフとか、良い印刷のものだとうれしいと思いました。デジタルフォトフレームは論外です。美は、効率化とは両立しないものだと思っています。


博物画

驚異の部屋に定番の絵としては、まずは博物画があります。驚異の部屋の趣旨からしても、博物画は特にふさわしいものだと思います。鉱物画やキノコが好まれるでしょうか。ボタニカル・アートも博物画の一分野ですが、ルドゥーテのバラを好む層と、驚異の部屋愛好層はあまり重ならない気がします。天文図も人気があると見受けます。鉱物画やフィリップスの星座早見表などは、私にはとても手が届かず、持っているのは卵の図と、天文図1枚、W.Kranz作の夜の絵です。天文図は、デパートの文具売り場で額装してもらいました。地味な図版ですし、机の上にペラっと置いてあるだけではまるで有難味もないですが、額装すると見違えるようでした。野鳥の卵は、階段のタペストリーの隣に掛けています。

J.J.グランヴィル

(誰にお勧めしているのか分かりませんが)、J.J.グランヴィルは驚異の部屋にお勧めのイラストレーターです。着想がユニークで、描写は精密、美しさとグロテスクが混在しています。絵は、版画(技法は不明)に、手彩色を施しているようです。ところどころはみ出しており、そんなにうまい塗り絵ではないですが、淡い色合いが良いです。ウォルター・クレイン、ミュシャ、エルサ・ベスコフ、エルンスト・クライドルフ等の一連の花の擬人化は、すべてグランヴィルが原点なのかと思っています。

手持ちのスミレの絵は、2014年に購入し、そのまま放置していました。飾り用途の物を温存しているのは、実用品を飾っているのと同じくらい、意味のないことなので、安価な写真フレームを購入し、マット紙のみ、絵のサイズに合わせて誂えました。デパートで額装してもらう場合の1/3以下のコストで収まりますが、そこまで違うようには見えません。気に入ったフレームさえあれば、お仕着せでも良いのではないかと思います。


有名でないターナー、彗星

とはいえ、絵葉書も飾ります。整理してみたら、1000枚くらいはありそうだったので、飾らないともったいないと思いました。1枚目は、オクスフォードのウィリアム・ターナーのものです。同時代で作風も似ている、より有名なJ.M.W.ターナーとは別人で、区別するため「オクスフォードのターナー」と呼ばれます。


ベルギーのシュルレアリスム

現代に近くなると、マグリットとデルヴォーが驚異の部屋的だと思いますし、驚異の部屋愛好家はマグリット好きが多いように思います。デルヴォーと驚異の部屋のつながりは、anatomical Venusだと思います。自分の好みで言うなら、マグリットやデルヴォーはすごく良いな、と思う作品と別に興味ないわと思う作品とが半々くらいです。シュルレアリスムの画家でも、マックス・エルンスト、ダリ、デ・キリコなどは驚異の部屋とはかけ離れています。マグリットやデルヴォーの原画を飾るわけには行かないので、絵葉書で満足しています。フレームはMOMAのロイド・ライトのデザインを翻案しているものです。

来月、Bunkamuraのザ・ミュージアムで開催される「ベルギー奇想の系譜」展は多分にヴンダーカンマー的なのではないかと期待しているところです。

ところで、マグリットについて調べていて、すごいものを見つけてしまいました。「ルネ・マグリット 図録と画集に見る作品参照データベース」というサイトで、 マグリットやデルヴォーのあらゆる図録・画集を、サイズ、図版の数、内容を含め、データベース化し、検索できるようにしています。仕事で業務効率化を担当していることから、データベース構築に常に悩まされています。膨大なデータを含み、きれいに整備された、検索しやすいデータベースには心底憧れます。すばらしいデータベースだと思いました。

2017年6月17日土曜日

後ろめたい喜び(バベルの塔)


東京都美術館「バベルの塔」展
金曜日の終業後に、行ってきました。金曜日は20時まで開館しているからでした。同じく仕事帰り・学校帰りらしい老若男女で大賑わいで、チケット売り場には行列ができており、コインロッカーはすべて使用中になっていました。展示物の前も、押すな押すなの大行列です。待ち時間がない分、ありがたく思えということなのでしょうか…美術館は、フェルメールの前でイェーイと言って写真撮影できる程度に空いているのが好みです…


Guilty Pleasure
ヒエロニムス・ボッスの作品は、今回は2点しか出展されておらず、それも変なモンスターがたくさん描きこまれたものではありませんでした。ボッスの作品で特に人気があるものは、「地上の楽園」等だと思います。グロテスクで、ユーモラスで、見ようによっては気持ち悪く、美しいところは特になく、でも妙にかわいい部分もあり、見ていると後ろめたい気分になります。夫に「今日行った展覧会はすごくかわいいのが多くて、」という話をして、チラシや絵葉書を見せたら「悪趣味やな」と言われました。絵画は、細部が非常に精密に描写されていて、空いているときに近付いて観賞できるとよかったのに、と思います。欧米の美術館に行ったとき、だいたい素描と版画の部屋は素通りでしたが、もったいないことだったかもしれません。ブリューゲルも、農民の絵よりもモンスターいっぱいの絵の方が楽しいです。
なお、「地上の楽園」はWikimedia Commonsで拡大して細部まで好きなだけ眺めることができます。良い時代になったものです。

エッグスタンド
就職して、多少の可処分所得を得られるようになったにもかかわらず、あまり欲しいものがなくなりましたが、展覧会の公式サイトで、モンスターの絵付のエッグスタンドが販売されているのを知り、欲しくて矢も楯も堪らないほどでした。茹で卵などまず食べないのに、3つも買ってしまいました。お気に入りは、琴ペン(写真右)です。鳩のようでかわいいし、ハープを担いでいるのも良いです。夫は、「この人の服、拷問する時に着るやつやで。趣味悪いんとちゃう」と言うのですが、なんとなく性格が良さそうに見えます。「忍耐」というタイトルの版画の一部で、絵葉書にはちゃんとPatienceの印字もあるので、机の前に飾って、大切にしたいと思います。


2017年5月27日土曜日

オルガン付

これまでに、結婚前も含め、夫と行ったコンサートは5回、10回には止まりません。プロ・アマ含め50回は下らないはずです。夫に「これまでに行ったコンサートで一番良かったのは何ですか。私はBSOのオルガン付なんですけど」と言うと、「オルガン付やな」と即答されました。「今度、●●でオルガン付やるんですって。ちょっと遠いですね」「遠いけど、オルガン付のためなら行くわ」と言うので、出かけました。

BSOのオルガン付を聴いたときは、衝撃的でした。50回のコンサートのうち、ガッカリしたのは3回くらいで、他はどれも良かったですが、オルガン付だけは別格で「良かった」だけでは到底言い尽くせません。

どこに聴きに行こうと、必ずあの経験ができるものと、2人で期待していました。今回も、すてきなコンサートではあったのですが、「楽器の中に入っているような」、「心臓に音が響く」という感覚はありませんでした。オルガンという楽器が、どの程度演奏家の力量を反映するものなのか、分かりませんが、演奏家ではなく、楽器の大きさやホールの音響の問題かという気がしています。ボストンのシンフォニーホールは古く、防音はイマイチで、外の救急車の音なども演奏中によく聴こえます。ただ、オルガンは大きなパイプがステージの壁を埋めています。ホールの写真を見ると、この規模のパイプが壁一面に配置されていれば、壁を通してちょうど「楽器の中にいる」感覚になるだろうと思います(音響の専門家ではないので、見た感じで言っているだけです)。今回の●●ホールのオルガンが小さいということはないのですが、パイプはステージ奥の壁の面積の半分くらい?のように見えるので、ホールの規模からすると、オルガンは大きくはないのかと思います。それで、BSOの時のような大迫力ではなかったのかと思っています。夫と私は、通常は、結果が悪かった時に落胆しないように、何事にも期待しすぎないようにしているのですが、とにかく期待しすぎて、終演後、「あの時の衝撃はないですね」「ないなぁ」とやや微妙な感じになりました。聴く側が悪いのであって、コンサートが悪かったということではありません。

ボストンには、シンフォニーホールと、ニューイングランド音楽院のホール、ニューヨークのクラシック音楽のコンサート用のホールは、カーネギーホール、リンカーンセンター、他にオペラのメトロポリタン歌劇場がありますが、首都圏のコンサートホールの多さには驚きます。今回も客席は50%は埋まっていない感じでした。ちょっとホールが多すぎる気がしますが、どうでしょうか。オルガンのあるホールも多いです。

2017年5月21日日曜日

庭仕事



昨年秋に転居した賃貸アパートは、とても小さい花壇とさらに小さいウッドデッキが付いています。冬の間は放置していたため、ハコベ、ナズナ、ホトケノザなどが繁茂していましたが、撤去し、種をまき、苗を植えました。花壇には、ラベンダー、アサガオ、テッポウユリ、スズラン、ヒエンソウ、アヤメ、ヤグルマギク等を植え、鉢植えは、ギンモクセイ(銀木犀。金木犀ではなく)、ヒイラギモクセイ、ギンバイカ、クロモジ、アンズ2本を植えました。購入時から成長したものもあるとはいえ、植えた本人の自己満足でしかなく、どの苗木もヒヨヒヨです。

種をまいて、発芽しなかったものも多いです。花壇にもともと入っていたのが、粘土質で水はけの悪い土だったのが原因かもしれません。苗で買ったものも生育が悪い気がしています。近所のホームセンターで投げ売りされていたデルフィニウムとラベンダーだけは良く育っています。初心者は、種ではなく苗から育てる方が良いのでしょう。




デルフィニウムを摘んできて、飾りました。驚異の棚には、何かしら植物があると良いと思っています。花弁を乾燥させると、色がきれいに残るので、ボストンで入手した古いガラスの器にラベンダーと一緒に保存しています。

昨年植えたヒイラギは、冬に花が咲いたものの、思ったよりも香りがしなかったため、ギンモクセイとヒイラギモクセイを追加しました。これらは生垣を作ることが多く、鉢植えで後生大事にするようなものではありませんが、手入れもあまりしなくて良く、姿が良いと思っています。ギンバイカとクロモジは、葉に芳香があります。ギンバイカは、写真で見る限り花もきれいなので、楽しみにしています。クロモジは地味であり、渋いです。ロウバイの香りも好みですが、苗木が高価なので、諦めました。

野菜や果物は、素人が作るよりも、プロが作ったものを買う方が、安くて味も良いですが、アンズは流通量が少ないため、植えてみました。当分実がなることはないようなので、まずは花を楽しむ目的です。中国の「杏林」の逸話もすてきです。

2017年5月3日水曜日

フラワーシャワー



山種美術館で開催中の、花の展覧会を見て、その後、天気が良かったので歩いて根津美術館まで行きました。

植物の表現は、そのパーツの薄さ、繊細さ、儚さを写し取っているかどうかでその魅力が決まるという気がしています。日本画や、水彩画の方が、油彩画よりも、儚さや薄さを表現するには適しているのではないかと。ヨーロッパの絵画を見ると、美しさ、壮大さ、緻密さに圧倒されますが、日本画を見ていると、すごくかわいい、家に持って帰りたい、と思います。絵葉書はありませんが、特に蕨や、野草の絵が好みでした。

速水御舟のスケッチ帖のバラがすてきで、多寡●屋は今すぐ包装紙や紙袋の柄をこれに差替えた方が良いのに、と思いました。もしそうなれば、包装目当てで無駄な買い物ばかりしてしまいそうですし、もうデパートは@縞屋しか使いません。



今回の展示にはありませんでしたが、小林古径の、お椀に入っているリンゴの絵葉書を購入しました。ちょっとマグリットのようです。

根津美術館の絵画の展示は少なめでしたが、手入れの行き届いたきれいな庭園もあります。ちょうど藤とカキツバタが花盛りでした。カキツバタの屏風と、本物とを同時に見られるとは贅沢です。



 

それに、美術館の売店には、咲いている花のブロマイドも用意されているのでした。気が利いていますね。

花壇で作っているヒエンソウを摘んできて飾りました。ヒエンソウの苗は、近所のスーパーで投げ売りされていたのを買ってきて植えたのですが、良く育ち、沢山の花を付けました。

2017年5月1日月曜日

メーデー


メーデーは労働者の祝祭だそうです。遅い時間に電車で帰宅して、乗り合わせた見知らぬサラリーマン曰く「1年に1000円しか月給上がらないの。10年働いて10,000円だよ。子供の小遣いかって」「ところが、社会保険料は毎年改定されて、毎年1000円以上上がってるから。結果的には減給だよ」「面談で、上司に『月給上げてやるからもっと顧客満足度を上げるサービスの提供をせよ』と言われた」と言っていました。社員の満足度をそこまで下げておいて、顧客満足度を上げよというのも無茶な話です。自分の給与には特段の不満もありませんが、社会保険料にはかなり不満があるので、明細は半年くらい見ていません。

ゆるふわ系ブログにはふさわしくない話題でした。自宅でスズランを作っています。可憐な花ですが、生命力は強く、冬の間は茶色く枯れて、ダメになってしまったのだろうと思っても、春になると新芽を出し、花を付けます。花の収穫も少しありました。フランスでは、メーデーにスズランの花束を贈る風習があるそうです。クリスマスやバレンタインデーに高価なお菓子やプレゼントをやりとするより、メーデーにスズランの花束を贈る方がずっと良いです。それで、4月末にはスズランを探すのですが、花屋さんには「スズランの切花なんて市場に出ませんよ」と言われたり、2,3本が細く束ねられたものが結構高く販売されていたりします。半ば雑草のようになって、ちょっとした空きスペースに群生が見られるので、作るのはそこまで難しくないと思います。メーデーにはスズランを、と声を大にして言いたいです。

2017年4月9日日曜日

2017年春




お花見は洗足池に行きました。満開の日は雨の予報だったので、五分咲きくらいの晴れた休日に行きました。五分咲きではかなり寂しいです。洗足池公園はピンク色の提灯とスワンボートも良い感じですが、桜の下に屋台を並べて飲食するのは勘弁してほしいです。


私の部屋の窓から桜が見えます。引っ越してきたときから、これが楽しみでした。桜の木は、隣家の敷地に植えられています。自分で所有しないで、他人様の持ち物を無責任に愛でるのが一番の贅沢なのかもしれません。会社では、最近になってフレックスタイム制が導入され、私も時々使わせてもらっています。基本は実用的な用事があるときに使うのですが、用途制限はないので、今度は「美しいものを見に行く」というような用事のためにフレックスを使ってみようと思いました。SNSを見ていると、皆、自分が見た桜こそが一番きれいであることを疑っていないようで、そんなふうに思わせることこそが桜の本当に良い点だと思っています。


KOの通信課程で、英語の放送授業を1年近くも受講しなくてはなりませんでした。試験2回、レポート1回で1単位という、非常に効率の悪いものです。夫は「TOEIC985点、英検1級の人つかまえて大学の英語の試験受けなさいなんて、ええ根性してるやん」と同情的でしたが、これを取らないと卒業できないのでした。 試験が終わったので、よほどめでたい気分になり、宝尽くしの小皿を買いました。お菓子は、「愛香菓」という金沢製のもので、アーモンド粉、シナモン、レモンでできています。香りが良く、とてもおいしいです。