Flow My Tears, the Policeman Said (本)

鳥獣戯画は関係ありません

【書誌情報】
Philip K. Dick, Flow My Tears, the Policeman Said, Doubleday, 1974

【あらすじ】
1980年代のアメリカは、国防軍と警察が支配し、学生は大学に閉じ込められ、政府による管理が厳格化されたディストピアと化していた。3000万人の視聴者を持つ、人気テレビスター、ジェイソン・タヴァナーは過去に関係を持った女性からの呼び出しに応じ、彼女を訪ねると得体の知れない何かをされ、気を失った。タヴァナーが目覚めると、誰も彼を認識せず、データセンタの個人情報すら完全に削除されていた。タヴァナーは怪しげな女性に依頼し偽装IDを手に入れる。

【コメント ややネタバレあり
あまり本を読みませんが、ジャンルとしては海外小説、特にイギリスの作家の作品が好きです。私は好きなものばかりを追いすぎて、それ以外は食わず嫌いになりがちなところ、「建築を勉強すること」と「サイファイ」に憧れがありました。建築を勉強するのはまず無理でしょうが、サイファイを読むことははるかに簡単にできます。英語の先生と、夫と一緒に読んで小規模の読書会をしました。

テレビスターが、自分が存在しないはずの異世界に迷い込んで、というストーリーはおもしろいですし、いろいろな女性が登場するというのも好みでしたが、いかんせん、オチがなんだかよく分かりません。検死官が仕掛けの説明を始めると、途端に分からなくなり、それは「ある朝目が覚めると異世界にいて、これまでの英語の知識がさっぱりなくなっていることに気付いた」というような体験でした。同じところを3回読んでも理解できず、先生や夫に尋ねてもやはり判然としませんでした。夫が解説マンガをかいてくれました。


主人公のガールフレンドの一人が「友達が雄ウサギとネコ3匹を一緒に飼っていたの。ウサギはネコが大好きで、ネコのやることを何でも真似し、子猫のために自分の抜け毛を集めてソファの裏に巣を作ったけど、子猫はその巣には入ってくれなかったのよ」と語る場面があります。本書に書かれる世界は近未来的ディストピアで、結末もよく分かりませんでしたが私はこの部分が一番好きでした。

サイファイというものがすべてこんなふうにわけの分からないオチがついているとは思えないので、もっと他のものも読んでみます。

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