書斎に憧れない


前の家で使っていた本棚は、引越しを機に処分し、新しいものを買いました。本の重みで棚板が歪み、わざわざ運ぶまでもないと考えたからでした。親の世代だと、結婚する時に立派な家具を一式揃えた人も多かったようですが、今はカタカナ3文字の安い家具の店で買った家具を、引越し毎に買い替えるのが一般的、という話を聞きました。それはそれでもったいない話ではありますが、共働きで、転勤の可能性もあり、当分不動産を購入する予定もないとなれば、安い家具を使い捨てるのが合理的ではあります。

そんな次第で、新しい本棚も単なる大型カラーボックスです。このように仕切られていると、棚板が重みでたわむのは軽減されるでしょうが、本の収納スペースは減ります。

帰国後は、教科書と、画像中心の本は紙で買い、その他は、電子版があれば、電子書籍にしています。価格としては、古本で買う方が電子書籍版よりも安いことがほとんどですが、読み終わった後、持て余して、捨てるのも気が引けるし、かといって売却も億劫なので、そのまま残しておくと、引越しの時はまた荷造りして、本棚を作って、並べて…と途方もないほどの労力を費やすことになります。その労力と、電子版と中古本との差額を考えると、差額など問題にならないので、迷わず電子書籍にします。ペーパーバックで所有していた英文学は、著作権が消失しているものはすべて手放し、電子書籍を無料ダウンロードしました。テキストや問題集は紙の方が便利な気がしますが、あまり勉強熱心な方ではないので、よほど気に入るものでない限り、試験に合格したら処分してしまいます。文庫本なども、電子書籍で購入できることを確認したものは、相当数を処分し、また読みたくなったら買えばいいや、と思っています。公立図書館は電車を乗り換えて、さらに駅から●分くらい歩いたところに「分館」しかないので、利用する意欲がありません。

文学部出身で、読書は嫌いではなかったはずで、「書斎」とか、本でいっぱいの家に憧れた時期もありました。でも、近年は、電子書籍が普及してきましたし、何度か引越しをするうちに、本に囲まれるより、「本をいかに減らし、空間を増やすか」が重要であると思い知り、「本に囲まれる生活」に対する憧れなど、完全に「若気の至り」と片付けられるに至りました。

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