Inventing the Abbotts(『秘密の絆』)

【基本情報】
Inventing the Abbotts=『秘密の絆』、1997年
監督 パット・オコナー
出演 ホアキン・フェニックス、ビリー・クラダップ、リヴ・タイラー他

【あらすじ】
ジェイシーとダグは年の近い兄弟で、弟のダグは自分は兄との共通点は少ないと思っているが、兄には「俺の踏んだ轍ばかり踏むのはやめろ」と言われる。兄弟は街の長者の娘である三人姉妹、アリス、エレノア、パメラに憧れ、ジェイシーは姉二人と付き合う。しかし、アボット氏は兄弟の両親と確執があったために、ジェイシーを嫌い、娘たちに交際を禁じる。

【コメント】
本作は、『80年代アメリカ女性作家短篇選』に収められているスー・ミラーの「アボット家を創造する」という短篇が原作です。映画は当時売り出し中だった(?)リブ・タイラーがヒロインを演じる他、美人女優をそろえた青春もので、日本でもそれなりに話題になっていたと思いますし、原作も、短編集の中で一番印象に残っていますが、日本語タイトルが『秘密の絆』だったので、映画と原作の関係は最近初めて知りました。こんな似ても似つかない邦題をつけられても、分かるわけがありません。

原作を読んだのが5年以上前なので、私の記憶が曖昧な部分もあるのですが、映画を見て「こんな話だっけ??」と思いました。細部からリブ・タイラー演じるアボット家の三女のキャラクター、結末に至るまでかなりの改変がなされています。原作は微妙でほろ苦く、ストーリーの要となるのが実は兄弟でもアボット姉妹でもなく、兄弟の母親だった、というところがおもしろい構成になっています。でも、映画の方は脚本としてはまとまりがあってきれいな「オチ」も着いているものの、あまり微妙さをすくい上げていなくて、フラットな青春ラブストーリーなのが残念でした。三人姉妹を演じるジョアナ・ゴーイング、ジェニファー・コネリー、リブ・タイラーはそれぞれに違ったタイプの黒髪美人で、私はセクシーな次女を演じるジェニファー・コネリーが好みでした。

スー・ミラーの小説の日本語訳はほとんど出版されていませんが、アメリカでは読書会でもよく取り上げられる作家のようです。『80年代アメリカ女性作家短篇選』は中古で安く手に入れることができ、良作ぞろいでお勧めです。



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