2013年1月29日火曜日

マンガブログ始めました

夫の描いたマンガと、おもしろい夫の日々の発言をブログに書いています。どうぞよろしくお願いいたします。

2013年1月28日月曜日

1月の花・水仙


今年は積雪は少ないとはいえ、年が明けてから毎日寒く、気温は日中でも氷点下です。寒い地方だけに暖房設備はしっかりしているので、屋内は暖かいですが、乾燥します。外の景色が寒々としているため明るい色のものが欲しいと思いました。夫が水仙の花を買ってくれました。

スイセンは黄色いものと白いものとがあり、「スイセン」で画像検索すると白い花の画像が多く検出されますが、daffodilで検索すると黄色い花の画像が、jonquilで検索すると白い花の画像が中心に表示されます。ただし、daffodil、jonquilというのは色で分けた名前ではないようです。私は白い花が好きで、他の種類の花なら白と黄色がある場合白を選びますが、黄色いスイセンは星のようで素敵だなと思います。ゴージャスなブーケよりも同じ種類、色の花を数本飾るのが好きです。

daffodil、jonquilが指すのは花ですが、narcissusはギリシア神話に登場する美少年に由来する名称です。他に、スイセンは中国では新年の花であり、ペルシア文学では「美しい目」の象徴であるそうです(同様に、スミレは美しい髪の毛、バラは頬の象徴とのことです。出典)。ワーズワースはスイセンについて有名な詩を書いていて、「イギリスでは必ず教科書に載っている」という話を聞いたことがあります。

一緒に鉱物標本を飾りました。鉱物の冷たい輝きは晴れた冬の日に似合うと思います。


Path to the Silent Country (本)




【書誌情報】
Lynne Reid Banks, Path to the Silent Country; Charolotte Bronte's Years of Fame, Penguin Books, 1977

【あらすじ】
弟妹のブランウェル、エミリー、アンを相次いで失ったシャーロット・ブロンテは失意に沈むが、新しい小説、『シャーリー』と『ヴィレット』を書く。出版社からの誘いでロンドンに度々旅行し、万国博覧会を見学したり、サッカレーやハリエット・マーティノー、エリザベス・ギャスケルとの親交を結ぶ。父親のパトリックは年老いて偏屈になり、娘を束縛するが、シャーロットは果敢に立ち向かい、幸せな結婚をする。Dark Quartet: Story of the Brontesの続編。

【コメント】
リン・リード・バンクスのブロンテ姉妹小説の第二作です。エミリーとアンは前作の終わりで病死してしまったため、シャーロット・ブロンテの後半生の物語です。

『ジェーン・エア』の成功により名声と富を手にしたシャーロットはロンドンに出て著名人と交流し、華やかな世界を体験します。弟妹を失った彼女にとってそうした生活は慰めとなりましたが、父親は「私は5人の子供の4人までを失った、これ以上こんな目にはあいたくない」と言ってシャーロットの行動を阻止しようとします。それまで従順な娘だったシャーロットですが、ギャスケル夫人に「お父様に絶対服従する必要はありませんよ」と言われ、立ち向かいます。その姿は使用人という立場にもかかわらず、主人のロチェスターに率直に話すジェーン・エアを彷彿とさせます。

ギャスケル夫人は後に『シャーロット・ブロンテ伝』を書きました。夫人の温厚な人柄は本書からも伺い知ることができます。当時の世相を反映した『ルース』を書くに当たっては、牧師夫人としての社会からの要請と、個人的な思想との間で葛藤があったようです。『ルース』はスキャンダルを以って迎えられますが、シャーロット・ブロンテはギャスケル夫人に触発されて社会問題に興味を持つようになり、女性囚人を訪問したこともありました。

シャーロットはブリュッセルに留学した際、師であったエジェ氏に片思いし、彼を忘れることはありませんでした。しかし後半生には編集者のジョージ・スミスに思いを寄せ、彼は『ヴィレット』のブレトン医師のモデルになりました。また、スミス氏の同僚、テイラー氏からも求愛されます。ロンドンにいるテイラー氏と文通し「手紙だと魅力的な人柄なのに、会うとどうしてもダメ」と言って結婚には至りませんでした。そして文学にはあまり興味がないけれど、親切なニコルズ氏と父親の反対を押し切って結婚します。恋愛に関する心情の機微もおもしろいです。

 画像はシャーロット・ブロンテの写真と、作中にも言及のあるジョージ・リッチモンドによる肖像画です。シャーロット・ブロンテは(『オフィーリア』の)J.E.ミレーからも肖像画を描くというオファーを受けましたが「リッチモンド先生との先約があるので」と断ります。角度が違うからなのかもしれませんが、写真と肖像画が似ていないなと思いました。小説の中で、肖像画についてギャスケル夫人は「普通の美人になってしまっているわね」と言い、シャーロット自身は「父と女中が老けた感じに描かれていると言っています」と語ります。

日本語訳はありませんが、ブロンテ姉妹は日本でも人気があるので、リン・リード・バンクスの二部作は翻訳されるといいな、と思います。

2013年1月26日土曜日

フルーツケーキ


カッサータを作ったらあまりおいしくなかったので、残ったドライフルーツやナッツでフルーツケーキを焼いてみました。ドライフルーツはラム酒に漬けるらしいですが、夫が「飲まない」と言っていたウィスキーがたくさんあったので、ウィスキーに漬けました。レシピは気に入っているオレンジケーキのレシピを元に、適当にアレンジして作りました。アルコールっぽいのが苦手なので、ウィスキーは熱してから生地に入れました。

ドライフルーツとナッツ、アーモンドパウダー、バターが入った重いケーキなので、薄く切って食べます。スパイスの香りもして、紅茶に合います。夫も「おいしいねぇ」と言ってくれました。

フルーツケーキといえばイギリスという気がします。何度か読み返しているほど好きなイギリスの少女小説、ルース・エルウィン・ハリスの「クォントックス丘陵」のシリーズで一家の使用人がフルーツケーキを焼くのがうまくて、全四作品中に繰り返し登場していたのが印象的です。

2013年1月24日木曜日

便利な語彙強化ツール

でも実際のところは勉強をサボってお菓子を食べて遊んでばかり
前回に引き続き、語彙強化の試みについてです。ankiは優れた暗記ツールですが、Quizletはオンラインで単語帳を共有できるシステムです。登録されている単語帳は10万ほどもあるようで、英語の他にドイツ語やフランス語、中国語、さらに専門用語集などもあり、自分の学習目的に合った単語帳を検索できます。学習機能や小テスト、ゲームもついています。

単語帳に登録する作業自体も意味があると思いますし、自分の目的と完全に一致する単語帳を見つけるのもなかなか難儀だと思うので、自分で作ることは必要だと思います。ただ、Quizletはゲーム感覚で学習できて、おもしろいのでankiと併用したいと思った次第です。

2013年1月23日水曜日

語彙の強化対策

でも実際のところは勉強をサボって寝てばかり
洋書を読んでいて思うのは、語彙が少なくて不便、ということです。本来「洋書多読」は「辞書は引かない」というルールがあるようですが、分からない単語が多すぎると心底情けない気分になってきて辞書を引いてしまいます。それでは一向に語彙が増えないので、以下の3冊の本の知らない単語を単語帳ソフトankiを使って憶える試みをしています。



『TOEFL必須英単語5000』の掲載単語のうち、日本語でもよく分からない専門用語(「頭部波」とか「彩層」なんて知りません) は飛ばし、全部で2500くらいの単語と熟語を単語帳登録しました。ankiは憶えた単語は長期間空けてから表示したり、同じ単語を重複して登録しないなどの機能がついていて便利です。紙の単語帳にチマチマと書く手間がなくなったこともうれしいです。唯一の欠点は例文登録がしにくいことです。1日に200程度の単語の復習をしています。昨年末からだいたい毎日続けているので、「1ヶ月も経過しているのにまだ覚えていない単語があるのか?!」という問題はさておき、とりあえず3日坊主は免れました。毎日続けると、サブリミナル効果か何か知りませんが、関係ない時にふと英単語と意味が頭の中に思い浮かんだりします。


次に狙っているのはこの2冊で、英検対策の本は日本から取り寄せているところです。これを勉強すれば少しはScrabbleに強くなれるかも?

 英単語を勉強するときBGMに英語の朗読を聴いて理解できるほど頭が良くないので、音楽を聴きます。バロックが気に入っています。最近は(違法アップロードかと思いますが)youtubeからも長時間の録音が聴けて良いですね。

2013年1月22日火曜日

チャールズ・ヴォイジー

これまでに集めた関連本、グッズ
アーツ・アンド・クラフツ運動やウィリアム・モリス関連の本を読んだり展覧会に行ってよく見るのはCharles Voyseyチャールズ・ヴォイジー(C.F.A.ヴォイジー)の名前です。Wikipedia先生は以下のように解説しています(和訳は適当です)。

チャールズ・フランシス・アンズリー・ヴォイジー(1857-1941)
イギリスの建築家、家具・テキスタイルデザイナー。活動初期にはアーツ・アンド・クラフツスタイルの壁紙や布地、家具のデザインを行ったが、多数の著名なカントリー・ハウスの建築家として知られる。産業デザインの重要性を理解していた。近代建築の始祖の一人とされている。

ウィリアム・モリスに比べ知名度が低く、テキスタイルを見るとモリスの方が技巧的には優れているように思え、長く見て飽きが来ないのはモリスかな、と思うのですがヴォイジーはモリスよりもユーモラスで楽しいです。




ヴォイジーのテキスタイルにはこんな少し細長い鳥がよく登場します。下の写真はFarrow&Ball社のカタログより引用しました。ヴォイジーのデザインではないと思いますが、なんとなく似ています。



建築や、インテリア全般のデザインも行っていたようです。下の写真は生命保険会社のオフィスとのことです。オフィスがこんなに美しかったら毎日仕事に行くのが楽しみになりそうです。私はネコ足家具に代表されるような、ヴィクトリアンなインテリアがどうも苦手で、このように縦線と横線を強調した室内装飾が好みです。この整然とした連続的な直線のデザインはフランク・ロイド・ライトにも通じるものがあると思います。

2013年1月21日月曜日

カッサータ(珍しいアイスクリーム)


色とりどりの美しい鉱物標本を見ていると食欲を刺激されます。そんなことでは全く科学、勉強全般にも向いていないので困るのですが、ともあれ「宝石をちりばめたような」チーズアイスクリームの「カッサータ」を作ってみました。


レシピはこちら。ドライフルーツはオレンジピール、レーズン、クランベリーを入れました。カッサータはイタリアのアイスクリームです。珍しく、見栄えもしますが材料を揃えるのにお金がかかる割には、目覚ましくおいしいというほどのものではありません。クリームチーズとバニラの香料入り(無香料のものは見つからず)のマシュマロを混ぜると、乳酸飲料のような味になります。もともと乳酸飲料が苦手なので、それほどおいしいとは思えなかったのかもしれません。本来はリコッタチーズで作るそうなので、それを使うと少し違った味になるのだと思います。


ハーヴァード自然史博物館


日曜日の午前は、マサチューセッツ住民は入館料が無料になるのでハーヴァード自然史博物館に行きました。地下鉄ハーヴァード広場駅で電車を降り、ハーヴァード大学のキャンパスを通ります。混雑していて子供が多かったです。




展示は動物の剥製、鉱物の標本などが中心です。またユニークな展示としてはガラスで作られた植物の標本があります。鉱物や植物の標本はきれいで、私はおもしろかったですが夫は「ちょっと子供向けやなぁ」と言っていました。ちなみに、私はこういうものを見てきれいだな、とは思うものの、昔から理数系科目はさっぱりダメで、今回も解説はほとんど読んでいません。


お土産に紫水晶の標本を買いました。大きく、形が良い標本は高価ですが、私が買ったのは足元の箱にたくさん詰め込まれていた内の一つで、他の標本とぶつかって欠けたりしている部分もあります。鉱物標本の収集という危険な趣味に手を出すつもりはないのでこれでいいのです。

ハーヴァードの書籍部のカフェでサンドイッチ(2人で1つ)を食べて帰りました。ハーヴァード大学には付属の美術館もありますが、現在は改装中のため、閉鎖されている部分が多いようです。

2013年1月16日水曜日

アメリカの良いところ

チャールズ川より
 渡米して1年半が経過しました。初対面のアメリカ人によく「アメリカのどんなところが好き?」と言われるので、これまでの印象で良いと思ったことを書いてみます。

ボストン公立図

【建築・都市計画】
日本の製品は使いやすく、食べ物はおいしく、安全、清潔で日本は良い国だと思います。でも日本にはきれいな建築物が少ない気がします。一般民家は個人の好みなのでさておき、ほとんどの公共建築物が寒々とした無機質なコンクリートの箱か、意味のないガラス張り(東京、新美術館)で、景観を損なっているように思います。メトロポリタン美術館、シカゴ美術館、ボストン美術館のアメリカ三大美術館に加え、ニューイングランド地方のいくつかの小さめの美術館にも行きましたがどこも建物が重厚で風格があります。それと都市計画は、オフィス街と住宅街が日本よりも明確に区分されています。

【文化施設】
美術館はとにかく規模が大きいです。でも美術館のほとんどは東部の大都市に集中していて、中西部にはあまりないようです。私は図書館を推します。DVDやオーディオが豊富です。私の住んでいる市は人口3万人ほどなので、図書館自体はそれほど大きくありませんが、地域の他の図書館と提携しているので、60万冊の蔵書にアクセスできます。図書カードを作ってインターネットからログインすると、他の図書館の蔵書も予約することができ、本は最大で5週間借りられます。また、図書館主催のイベントもあり、作家を呼んだり、コンサートや古本市を開催したりしています。ボストン公立図書館は観光地としてもおすすめです。

【生涯学習】
教会、図書館、公立学校等々で生涯学習がさかんです。講師はほとんどボランティアのような人が多いので、クラスによって当たり外れは大きいですが、受講料は安いですし機会が多いのは良いことだと思います。私はこれまでのところESLとドイツ語しか受けていませんが、他にも料理、手芸、写真、美術、外国語、ダンス、ヨガ等の様々なクラスがあります。

【乳製品が安い】
バター、チーズ、ヨーグルトなどが安く、種類も豊富です。アイスクリームはバケツサイズが販売されています。なお、アイスクリームとチョコレート以外の市販のお菓子はおいしくありません。

【飛行機の運賃が安い】
格安旅客券を探すとシカゴやワシントンDCに安く行けます。長距離電車はさらに安いようです。ただ、宿泊費は日本の倍以上はかかるので、体感としては結局のところ日本で国内旅行する場合と同じくらいの出費です。

【調理器具、特にオーブン】
多くの家には作り付けのオーブンがあります。七面鳥とか子豚を丸焼きできるような大きなオーブンです。オーブン料理は下味さえつけておけば後は焼くだけなので簡単で、オーブンで作ったというだけでちょっとゴージャスな感じが出ます。フードプロセッサーや電気ケトルなども良いものがあります。

2013年1月15日火曜日

Farrow & Ballのカタログ


美術館には昔のお金持ちの部屋をそのまま再現したような展示があることがあり、ゴージャスな壁紙を見て素敵だなぁ、と思う一方、模様の多い所に長時間いると頭が痛くなってきます。気のせいなのかもしれませんが、「青く塗られた部屋にいると体感温度が下がる」、「赤く塗られた部屋にいると体感温度が上がる」という調査結果もあるようで、長時間過ごす空間の見た目が体調に影響を及ぼすというのはありそうなことなので、部屋に壁紙を貼りたいとはあまり思いません。

それでも壁のペイントには興味があり、イギリスのFarrow & Ballファロー&ボールの無料カタログを取り寄せてみました。同社はナショナル・トラストと協同し、イギリスの歴史的建造物の塗装を行っているそうです。植物性の塗料を使用しており、色の名称は「ゾウの息吹」などのユニークなものがあり、話題を集めているとのこと。

色見本は全部で132色が掲載されています。どっしりとした上質紙が使用されていて、見ているだけでワクワクします。部屋の壁をこんな色にしてみたいな、と白昼夢にふけっています。


カタログはちょっとしたインテリア雑誌のようです。このページの写真はハンマースホイ風でいいな、と思いました。家具を少なくし、白っぽいドアと壁でドアを開ければ何でもハンマースホイっぽくなる気がします。Farrow & Ball社は部屋の色に関する本も出版しています。


私はやはり見ていると頭が痛くなってきますが、壁紙の品揃えもあります。壁紙は伝統的な型染めで生産しているそうです。なお、色見本は日本だとアマゾンで取扱いがあるようです。

2013年1月14日月曜日

霧のボストン、BSO


 ボストン交響楽団のコンサートに行きました。図書券を持っていたので使おうと思い、コンサートの前にプルデンシャルのBarnes & Nobleを冷やかしました。写真はシンフォニー・ホール~プルデンシャル間の遊歩道です。ステンドグラスがあるのはクリスチャン・サイエンスの教会です。クリスチャン・サイエンスの教義には共感しませんが、この教会は豪華な建物です。霧があって、独特の雰囲気が出ていました。


本屋さんで欲しい本が見つからなかったので、図書券はオンラインで使うことにし、絵葉書を買ってホールにむかいました。


今回は後部バルコニー席でした。指揮者はアラン・ギルバート、曲目は
  • デュティユー「メタボール」
  • チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲
  • ストラヴィンスキー 3楽章の交響曲
  • ラヴェル 「ラ・ヴァルス」
でした。チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は夫が特に好きな曲です。でも、ソリストの音が小かったり、ところどころ音程が不安定だったりして「?」と思い、プログラムを見てみると本来予定されていたリサ・ヴァティアシヴィリが病欠で、代ソリストが出演していたようです。少し残念な気もしましたが、コンサートはナマモノなので、常に完璧を期待する方がおかしいですね…

デュティユーは弦楽器の弓の木の部分で弦を叩いたりして、奇をてらっているという感じでしたが現代音楽はやはりよく分かりません。ストラヴィンスキーは金管のための音楽だと思いました。「ラ・ヴァルス」はラヴェルが
渦巻く雲の中から、ワルツを踊る男女がかすかに浮かび上がって来よう。雲が次第に晴れ上がる。と、A部において、渦巻く群集で埋め尽くされたダンス会場が現れ、その光景が少しずつ描かれていく。B部のフォルティッシモでシャンデリアの光がさんざめく。 (Wikipediaより)
と解説している冒頭部分が、まさにその情景のとおりで興味深いです。アマオケでドビュッシーを演奏した経験のある夫が「ああいう曲って、パートごとだと何をやっているかよく分からなくて、トゥッティになってはじめてどういう曲かが見えてくるから、演奏するのはめっちゃ難しいんやで」と言っていました。

2013年1月12日土曜日

2013年1月10日木曜日

The Blind Assassin(本)

本文と関係ありません
... Everyone ate and ate. They stuffed themselves full of technicolour meat and all technicolour food they could get, as if there was no tomorrow.
 But there was tomorrow, there was nothing but a tomorrow. It was yesterday that had vanished.
(みんなが食べてまた食べた。人々はテクニカラーの肉や、入手できる限りのテクニカラーの食品を詰め込んだ、まるで明日が来ないかのように。
 しかし、明日はあった、ただ明日だけがあった。消えてしまったのは昨日だった。 
和訳は適当です)

【書誌情報】
Margaret Atwood, The Blind Assassin,Anchor, 2000
=マーガレット・アトウッド著、鴻巣友季子訳、 『昏き目の暗殺者』、早川書房、2002年

【あらすじ】
 カナダに住む老婦人、語り手のアイリス・チェースには20台で運転を誤って自殺同然の死を遂げた妹、ローラがいた。ローラが生前に書き、死後に出版された小説、The Blind Assassinは素性不明の怪しげな男が恋人に、『3つの太陽と6つの月のある世界で、盲目の奴隷が暗殺者となる』というSF風の物語を語る内容だった。一方、アイリスはボタン工場主の跡取りとして裕福な家庭に育ったが、第一次、第二次世界大戦を経て父親が財産を失い、意に沿わぬ結婚をする。2000年のブッカー賞受賞作。

【コメント】
マーガレット・アトウッドはカナダの作家で、昨年のノーベル文学賞候補にもなったようです。昨年よく読んだ作家、トレイシー・シュヴァリエが「好きな作家」として挙げていたので読んでみました。たまたま図書館の古本市で購入し、ずっと本棚の上で寝ていたのでした。

小説は、ヒロインであるアイリスの先祖の頃から始まる現在までの100年近くに渡る興亡史と、妹のローラが書いた小説、新聞記事から成り、入れ子構造になっています。内容も複雑で凝ったもので、20世紀ほぼ全般にわたる女性の一代記であり、同時にSF、フェミニズム、家族問題、徐々に明らかになる真相など、様々な要素が盛り込まれ、重厚長大です。また、読み進むにつれ語り手が信用できないことが分かり、単なるエンターテインメントに留まらず、全体を包含して「書く」ことに対する問いかけが行われているように思います。非常に生真面目な印象の一冊でした。

英語は難しい語彙が多く、少し読みにくかったです。英語の先生がアトウッドをお好きだそうで、The Handmaid's Tale を勧めていただいたので、これも読んでみます。

ブッカー賞受賞作・候補作はこれまで10数冊しか読んでいませんが、その限りでは、長い作品の方がおもしろいものが多い傾向があるように思います。本作も500頁強と長いです。
  • 長くておもしろい Margaret Atwood, The Blind Assassin,Simon Mawer, The Glass Room, A.S.バイアット『抱擁』、サラ・ウォーターズ『荊の城』
  • 短くてイマイチ William Trevor, The Story of Lucy Gault,マイケル・オンダーチェ『イギリス人の患者』、イアン・マキューアン『アムステルダム』
 ところで、邦題は『昏き目の暗殺者』というそうですが、盲目のことを「昏き目」と表現するのは珍しいですね(「盲目」は差別用語?)。

2013年1月7日月曜日

折紙のバラ


 「読書メーター」のお友達が折紙で作った「ねじりバラ」の写真を載せていらしたので、いいなと思って私も作ってみました。折り方は簡単ですが、中心部分をねじるのが難しいです。ピンセットを使うと良いそうです(ピンセットを持っていなかったので、私は箸でつまみました)。作ってみるとおもしろかったので、他の種類のバラも折ってみようと、「福山ローズ」と「1分ローズ」を試してみました。「福山ローズ」はこちらに折り方が載っています。この折り方は分かりやすく、時間はかかりますがなかなかきれいにできます。「1分ローズ」の方は動画がいくつかありますが、分かりやすく折り目をつけないで、折りながら塩梅する感じで、難しくて途中で諦めました。

いろいろな折紙バラの紹介がこちらから見られます。折紙作家ってすごいですね。ただの正方形の紙からこういうものを作ることを考えるなんて、「天才だろうか」と思っています。

ただ、私は家に折紙で作ったものを飾る趣味はないので、折ったバラは英語の先生に差し上げました(4はアメリカでは忌数ではありません)。オフィスの机に飾って下さったそうで、「見ると楽しい気分になります」とおっしゃっていました。

2013年1月6日日曜日

Chopsticks(本)

Clara Schumann

 【書誌情報】
Jessica Anthony, Rodrigo Corral, Chopsticks, Razorbill, 2012

【あらすじ】
ニューヨークの若き天才ピアニスト、グローリー・フレミングが失踪した。彼女は幼い頃に母を亡くし、幼少期から父親によるピアノの特訓を受け、世界ツアーでコンサートを行うとチケットが売り切れるほどだった。しかし、最近精神が不安定になって「お箸のワルツ」ばかり繰り返し弾いていた。グローリーは南米から来た隣家の少年、フランクと父親の目を盗んで交際していた。

【コメント】
ティーン向けの写真絵本です。水色を中心とするパステルカラーを多用したさわやかでかわいらしい写真に目をひかれ、図書館で借りてきましたが意外と重い内容でした。写真はノスタルジックな雰囲気で、主役の二人も美形です。

手紙、会話文、チャットなどでストーリーを進める新しい手法を取っているにもかかわらず、内容は古典的で
  • ピラマスとシスビー(禁じられた恋。壁越しの手紙のやりとり)
  • ロベルト・シューマンとクララのロマンス(父親からピアノの特訓を受けるヒロイン。父親に男女交際を禁止される。精神病院)
  • シルヴィア・プラスの『ベル・ジャー』(精神病院に入るヒロイン。実際、本書にも『ベル・ジャー』の中の「お箸のワルツ」を弾いていたというページが引用されている)
などを混ぜて現代風にしたような感じです。読んでいると特にシューマン夫妻のことを考えました。精神異常になって病院で一生を終えたのはロベルト・シューマンの方でしたが、「もしもクララが、プレッシャーに押しつぶされていたらどうなるか」ということを視覚化しているようでもあります。現実のクララ・シューマンはタフな尊敬すべき人だったようです。

寂れたコニーアイランドでのデート(なお、コニーアイランドはリニューアルして近代的なアトラクションに生まれ変わったらしいです)、押し花、コンサートのプログラムなどの写真で構成されています。フランクが通い、後に退学となった高校とグローリーが入所する精神病院の住所や使用している便箋が同じで、校長と院長が同一人物というのがおもしろいです。青少年を閉じ込める檻のような存在の象徴となっています。

高校生のころに英語の副読本を読む課題が2ヶ月に1冊くらいあり、テーマは「科学者の生涯」、とか「環境問題」、「グローバル化」といった私にはあまりおもしろくもないものが多かったのですが、少しマンガ的なストーリーでもあり、画像も多いこういう本だったら楽しく読めただろうな、と思いました。

tumblrのページ
予告編


2013年1月2日水曜日

窓からの冬景色

元旦、朝7時ころ。月が釣れました。

寒い

大雪
雲が少しある方が夕焼けはきれいです。


雪が少ない地方に育ったので、子供のころは雪が積もると、ワクワクして雪だるまを作ったりしましたが、大人になると「雪かき面倒だな」とか「積もる前に買出しに行っておかないと」としか思えなくなってしまいました。そうはいっても雪景色はなかなか絵になります。部屋の窓から手を出して撮ってみました。

2013年1月1日火曜日

ウィリアム・モリスのカレンダー


2013年のカレンダーはウィリアム・モリスにしてみました。きれいなパステルカラーで、部屋にモリスのテキスタイルがあると明るい雰囲気になります。これまでは節約のため取引先から年末に頂くカレンダーを会社からもらってきて使うことが多かったですが、やはり自分の好みの物を選ぶ方がいいです。「カレンダーの余白にはマンガを描くべし」という(私が今作った)我が家の掟により、既に落書きが多くあります。夫に「カレンダーの絵はあなたの好きなのでいいけど、マンガ描けるのにしてね」と言われました。

このカレンダーは昨年、12月に入って早々にアマゾンで買ったのですが、クリスマスを過ぎると類似品がメトロポリタン美術館のミュージアム・ショップで半額で販売されていました。1月末にはさらに割引があるかもしれません。昨年のカレンダーにも今年の1月の分が付いていたので、当面はそれを使って安くなってから買えば良かったです。悔しくて夜も眠れないと言わざるを得ません。

今年もよろしくお願いします。