2019年3月17日日曜日
岡上淑子展@庭園美術館
東京都庭園美術館へ、岡上淑子展に行きました。岡上淑子の作風は、庭園美術館の雰囲気とよく合う気がして、昨年から楽しみにしていた展覧会です。岡上淑子は、文化学院に学び、1950年代に、Vogue等、アメリカのファッション雑誌の写真を使用して、コラージュ作品を製作しました。製作期間は50年代の7年間のみで、Wikipediaによれば、1959年以降はほぼ活動を中止しているとのことです。2000年代に入って再び注目を浴びるようになりました。私は、2000年代の終わりころに雑誌の表紙で初めて見て、強く印象に残っていました。
製作期間が短かったこともあり、コラージュ作品は全部で140程度とのことです。今回は、150点余が出展されていて、その内コラージュは100程度でした。ディオールやバレンシアガのドレスや、マックス・エルンストの挿絵本、コラージュの材料になった雑誌等の展示もあり、充実した内容です。庭園美術館の、ゴシック調でありながらクールな雰囲気と合っていると思いました。シュールレアリスムはこのようにエレガントで美しくなくては、と思います。ゼロからオリジナルではなく、他人の写真を素材としているにもかかわらず、岡上淑子の作品は特徴的・印象的であり、一度見たら忘れられないし、見たことがない作品でも一目見てすぐ分かります。見ていて、プロコフィエフの「シンデレラ」が頭から離れませんでした。
私も、古いファッション雑誌を購入して、コラージュを作ってみたくなりましたが、それじたいが完璧であるファッション写真を切り刻んで別世界を構築するということは、写真家に匹敵するセンスを持っていないとやってはいけないように思いました。やはり凡人が手を出すことではない、と思い直しました。庭園美術館の新館には不満しかなくて、行く度に、夫に「この建物は頂けませんね」と文句を言っていたのですが、岡上淑子のコラージュ作品は、基本的にモノクロで、サイズも小さいので、明るく広々とした新館の展示の方が見やすいです。絵葉書が充実しているのもうれしく、買い込んでしまいました。
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