Brideshead Revisited(映画)

【基本情報】
Brideshead Revisited,2008 日本語タイトル『情愛と友情』
Directed by Julian Jarrold
Main Casts Matthew Goode, Hayley Atwel, Ben Whishaw, Emma Thompson
Written by Evelein Waugh, Brideshead Revisited
予告編

【あらすじ】
第一次世界大戦中、チャールズ・ライダーはブライズヘッドの広大な館に駐屯する。ブライズヘッドはチャールズがオクスフォードの学生だった頃、級友のセバスチャン・フライトに招かれて滞在した場所だった。チャールズはセバスチャンの両親、兄や妹との若き日の交流を回想する。

【コメント】
イーヴリン・ウォーによる『回想のブライズヘッド』(または『ブライズヘッドふたたび』)は没落しつつある貴族の生活や、学生時代の思い出、宗教問題などを描写した小説です。登場人物がそれぞれに興味深く、20世紀初頭の貴族の生活ぶりがエレガントで、ストーリーもおもしろく、こういう作品にこそ小説を読む喜びがあると思います。

『回想のブライズヘッド』はテレビドラマとして放映されたこともあるそうです。オクスフォード大学に、美男美女に、イギリスの田園風景に、大邸宅にヴェニス!そのうえ20世紀初頭、ときたら期待が高まりますが、映画はやや期待外れでした。ロケに使われているお屋敷は荘厳で、要所に「水」が使われている(たとえば、船、チャールズとセバスチャンの川辺のピクニック、噴水で泳ぐ、ヴェニスの運河など)風景も美しいのですが、俳優にあまり魅力がありません。セバスチャンとその妹のジュリア、母のマーチメイン夫人は小説で「美しく、魅力的」と書かれていて、時代や階級、作中での雰囲気から私はセシル・ビートンの写真のような人々をイメージしていたのですが

Photo by Cecil Beaton

Photo by Cecil Beaton
映画に出ていた人たちはどちらかというと庶民的でした。それで、主人公の「雲の上のような上流階級の人たちとの美しい思い出」が卑近な感じになってしまっていました。また、あれだけ内容の濃い話を2時間に収めるのは厳しく、原作の持つ諧謔的な部分や深遠さが失われているように思いました。

本を読んだときはあまり感じなかったのですがチャールズとセバスチャンの同性愛的な側面が映画では強調されていて、その点はおもしろかったです。セバスチャンは浮世離れした崇高な母と美人の妹を持ち、家族以外の女性には関心がなく、付き合うのは男性ばかりなので、その気はあるのでしょう。

映画の雰囲気は最高です。作中に必ずダンスパーティのシーンが出てくるような第二次世界大戦以前のヨーロッパを舞台とした文芸作品は好きです。




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