Memories of a Catholic Girlhood (本)


【書誌情報】
Mary McCarthy, Memories of a Catholic Girlhood, Harcourt, 1953

【あらすじ】
The Group(『グループ』小笠原豊樹訳、早川書房)、Birds of America(『アメリカの鳥』中野恵津子訳、河出書房新社)等の小説家、メアリー・マッカーシーの自伝。6歳の時、インフルエンザの大流行により両親を亡くしたマッカーシーは、サディスト的な大叔父に虐待されて5年間を過ごしたのち、高名な弁護士であった祖父に引き取られ、養育される。マッカーシーの高校時代までを書く。

【コメント】
メアリー・マッカーシーは『グループ』がおもしろかったので短編集を読んでみましたが、イマイチでした。この自伝は短編集よりもおもしろいです。虐待されてシンデレラ的な扱いを受けた幼年期、聖心女子学校に通学するものの、信仰を失ったエピソード、大学入試のためにオールドミスの先生と『ガリア戦記』を勉強したこと、夏休みに友達の家に招かれて飲酒やデートをしたものの、あまり楽しめなかったこと、大変な美人で毎日2時間もお化粧をしていた神秘的なお祖母さんのことなど、一つ一つが現実離れしていて小説のようです。マッカーシーはこれに続くHow I Grewで「私は最初から自分が『賢い』ことを知っていた」と書いています。祖父に引き取られる前までは大変な子供時代だったようですが、重苦しくならず、ウィットの効いた語り口で、頭の回転が速そうな文章です。マッカーシーはちょうど今から100年前に誕生しました。時代は戦間期です。鮮やかな色彩が感じられ、古き良き前向きなアメリカの雰囲気があります。

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