2018年5月5日土曜日

ターナー展@損保ジャパン美術館


買って後悔することはあっても、買わなければ、手元に不在の物について「買っておけば良かった」と後悔することはほとんどないので、迷ったら買わないことにしています。一方、展覧会は、会期が終了してしばらく経ってから行っておけば良かった、と思うことも多いです。展覧会に行かずに後悔すると、かなり取り返しのつかない感じになるので、迷ったら行っておいた方が良いと思っています。行ってみてガッカリ、ということは時々ありますが、行かなければ良かった、と思うほどにひどい展覧会は滅多にありません。


そこまで興味ない、と思っていましたが、東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館で開催しているターナー展に出かけました。行ってみて、やはり、展覧会というのは迷ったり、期待外れだったらイヤだ、などと余計なことを考えずにとりあえず行ってみるべきだと思いました。ターナーは、印象派を先取りするかのような、大胆な彩色の油彩画が評価が高いのかもしれませんが、私は、ターナーといえば水彩画と思っています。緻密で繊細であり、涼しげです。絵を眺めていると、頭の中でもやもやと渦巻いていることが、あるべき場所に納まって、すっきりするような気がします。

ターナーが挿絵を描いているとは知らなかったのですが、水彩で描かれた「ヴィニェット」は特にかわいらしく、とても良いです。バージニア・リー・バートンの『せいめいのれきし』や『ちいさいおうち』を思い出しました。光と、奥行と、ミニアチュールのような細かさとが相まって、美しい小さな世界を構成しているのでした。ずっと見ていたい、持ち帰りたい、と思いました。契約審査や、独占禁止法の調べ物に行き詰ったときに、こんな絵を見て、考えをまとめれば、次のステップに進みやすくなるに違いありません。

損保ジャパン美術館は、都内に多数ある私立美術館の中でも、良いな、と思っている美術館の1つです。展示スペースはそこまで広くはないですが、毎回、大小様々な種類(油彩、水彩、版画等々)をバランス良く取り交ぜて、100点ほど展示があるので、見終わった後に充実感があります。新宿駅から地下道を通って気軽に行くことができます。

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