マシュー・ボーンの『シンデレラ』


夫と1ヶ月に1回、展覧会、コンサート、遊覧船等々、何かしらイベントに出かける、と約束をしていて、10月はマシュー・ボーンのバレエ『シンデレラ』を観に行きました。バレエは、10年以上前にボリショイ劇場で『白鳥の湖』を観たことがあり、自分はバレエにはそこまで興味ないかも、と思っていたのですが、上記リンクの予告編を見て、ステキだなと思って、出かけました。本物は、予告編の100倍くらい、すばらしいものでした。

マシュー・ボーンはバレエではなく、コンテンポラリー・ダンスの振付家のようです。舞台は、1940年のロンドンで、空襲のシーンもあります。シンデレラは眼鏡っ娘で、王子様はPTSDにかかった軍用機のパイロットです。フェアリーは、白い光るタキシードを着た、銀髪の天使です(ダンサーは男性ですが、中性的な感じです。英語のfairyには同性愛者という意味がありますから、このような解釈は、やはり、さもありなん、という気がします)。ストーリーにも変更が加えられていて、シンデレラは王子様の開催するダンスパーティに行くのではなく、空襲で負傷し、発見されて病院に運ばれるまでの間に、ダンスホールで踊る夢を見ます。

プロコフィエフの音楽が、第二次世界大戦中のロンドンに変更された舞台に合っていて、飛行機や爆撃、サイレンの音などの効果音とマッチしていて、驚きました。バレエ音楽は『ロミオとジュリエット』が中学校以来のお気に入りですが、『シンデレラ』も前衛的でクールな音楽だと思います。

音楽だけでなく、ダンス、舞台装置、照明、衣装等、ステージ上のすべてが行き届いていて非の打ち所がなく、美しく、楽しく、ユーモラスでもあれば、残酷さや悲哀を感じさせる部分もあります。こんな経験、人生でそうそうできるものではないと思います。地味なヒロインのシンデレラは、現実にはお姫様になるわけではなく、地味なまま、幸せを掴むところも現代的で好感度高いです。

観客は女性が多いと思いました。母が「男の人は、なかなかバレエなんて来てくれないものよ」と言っていましたが、夫はたいそう気に入って、「めっちゃええやん。今度はお母さんも誘って、3人で行こうよ」という話になりました。

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