Walter Crane |
「白雪姫」 グリム童話
Snow in Summer, Written by Jane Yolen, Philomel Books, 2010
【あらすじ】
1930~40年代の、アメリカウェストヴァージニア州が舞台。サマーと呼ばれる、Snow in Summerは、ヴァージニア州のつましい家庭に生まれ、幼くして母を失くした後も親戚のナンシーに保護されて成長します。しかし、父親が魔女に魅入られて再婚すると生活は一変し、ヒロインは継母にこき使われ、支配され、新興宗教の教会に連れていかれ、ついには命の危険まで…
【コメント】
ジェイン・ヨーレンは日本では絵本とSF数冊の翻訳があるようですが、「アメリカのアンデルセン」と呼ばれ、300冊(!)を超える児童書を出版しています。Wikipedia先生によると、ヨーレンはハリー・ポッターシリーズの作者が自作に登場するアイディアのかなりの部分を断りなく使用したと主張しているとのことです。アーサー王伝説の再話や、眠り姫の再話もあります。
Snow in Summerは、主人公のサマーの語りの他に、名付け親と継母による回想が含まれ、さらにサマーが写真を見て「登場人物は昔、こんなふうに見えていた」という描写をする部分があり、物語に厚みがあります。児童文学であり、単純な文章で読みやすく書かれています。継母は腹の底まで真っ黒の邪悪な人物で物語はファンタジーによくある、善と悪の対抗を中心に展開します。
実在の時代と場所に設定されていてしかも現代に近いだけに、魔法の薬とか、真実を喋る鏡などを登場させるのは少し無理がある気がしますが、主人公のサマーは『赤毛のアン』を愛読する普通の少女として書かれています。図書館は一般書の他、YAコーナーと絵本が中心の子供コーナーがあり、本書は子供コーナーに置かれていました。小学校3、4年生の子供が喜んで読みそうです。主人公の父親は精神的に弱く、無責任なのに、何の報いも受けないのはちょっと問題ではないかと思います。
【おすすめ度】
★★★★☆
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