影は地面に描いたそうです |
フランスの伝承
【あらすじ】
ロココ風の装飾を施された城のようなホテルに宿泊する人々の中で、謎めいた美女Aは男Xに誘惑される。「去年フェリクスバードでお会いしましたね」しかし、AはXに会ったことはない、と言う。
【コメント】
四つの異なる視点のストーリーを一つにつなぎ合わせたとのことですが(Wikipedia)、やっぱり訳が分かりません。それで、本を購入し、海外版DVDに収録されている当時製作に携わった人々のインタビューなども見てみたのですが、結局「この映画はどういうことなのか」に対する明確な答えは見つけられませんでした。分かったことは「ヒロインを演じるデルフィーヌ・セイリグの髪型は、当初もっと別な感じになる予定だったが、彼女が勝手に散髪をしてしまったので、あの髪型に変更したものである。ただ、結構人気が出た」ということくらいです。
それはさておき、確か本の解説に、「死神が若い女性を連れていこうとする。彼女は『1年待ってくれ』と言ったので、死神は1年後に再びやってきて、連れていく」というフランスの伝承が下敷きとなっている、というようなことが書いてありました。とすると、この映画のストーリーは
妻であるAが避暑地マリエンバード(かどうかは分からない)で、(X氏と?)浮気をしようとしていることに気付いたAさんの夫M氏は、妻の浮気現場に突入してAさんを殺そうとする。ただ、Aさんは完全に死ななかったのか、この世に未練を残していたのか、意識の上ではAさんはまだ生きていて、1年間、それまでどおり生きているかのように意識が彷徨していた。そして1年後に死神X氏と再会した時には、既に自分は半分死んでいるということを忘れているが、X氏は曖昧な理由でぜひとも自分と駆落ちしようと言って、Aさんを黄泉の世界に連れていく。
という解釈ができるかもしれないと思いました。
まあ、全然違うかもしれません。直接的に死が語られることはないのですが、ホテルの宿泊客は動きが少なく、無表情で時折カメラが止まったりもするため、全員既に死んでいるようでもあります。終わりが見えないようなパイプオルガンの音楽や、重苦しい建物など、随所から死のにおいが感じられます。よく分からないストーリーではありますが、映像は悪夢のようでもあり、美しくもあります。とりあえずこの雰囲気に浸かれれば良いのではないかと思いました。
【おすすめ度】
★★★★★
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