Beauty(本)

【題材、書誌情報等】
「美女と野獣」フランス民話
Robin McKinley著、 Harper Collins社刊、1978年

【あらすじ】
Beautyは裕福な商人の三人姉妹の末娘です。その綽名にもかかわらず、姉二人は美人ですが、Beautyは美しくありません。父親の船が遭難し、一家は突然貧乏になります。父親が旅に出た帰路で道に迷い、魔法にかかった城で末娘へのお土産としてバラの花を折りとったため、城の主である野獣に娘の一人を差し出せと要請されます。そこで末娘は城に赴き、野獣と暮らすことになりました。

【コメント】
 原作と異なる点は
  • ヒロインは美しくない
  • お姉さん2人とも仲良し。最後に石になったりしない。
  • お姉さんたちの結婚についての記述もある。
等、いくつかありますがほとんど元の話の枠組みから逸脱しておらず、単に細部の描写を詳しくして話を冗長にしただけという感があります。暇つぶしにはなっても、目が覚めるほどおもしろいというわけではありません。同じ題材の再話だとドナ・ジョー・ナポリの『野獣の薔薇園』の方が複雑で、野獣の屈折した思いが書かれていて良かったです。

それにしても、おとぎ話には女の視点で語られる、女に都合の良い話が多い(目立つ)気がします。語り伝えてきたのが女性が多かったのだとすれば、当然の結果かもしれません。

【野獣はどんな姿だったのか?】
ところで、この物語に登場する野獣はどんな姿だったのでしょうか。

コクトー映画ではライオンのような特殊メイク

エドマンド・デュラックは人間に近い姿で描き

ウォルター・クレインの描く野獣はイノシシのよう


ウォリック・ゴーブル描く野獣はロバに似ています

 一番気味が悪いのはアン・アンダーソンの描く野獣です。他のイラストレーターの野獣は毛が生えた哺乳類が多く、怖いとか変な感じはありますが、ぬいぐるみのようでもあり、一緒に食卓につくことも許容できそうです。一方、アンダーソンの野獣は気持ち悪くて、目の前にこんな怪物が座っていたら何も喉を通らなさそうです。こんな巨大化した爬虫類のような野獣を見てしまったら、王子様に変身した後でも、愛せるかどうかは微妙なのではないでしょうか…
ちょっとこっちに近寄らないでよ
【おすすめ度】
★★★☆☆



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