後ろめたい喜び(バベルの塔)


東京都美術館「バベルの塔」展
金曜日の終業後に、行ってきました。金曜日は20時まで開館しているからでした。同じく仕事帰り・学校帰りらしい老若男女で大賑わいで、チケット売り場には行列ができており、コインロッカーはすべて使用中になっていました。展示物の前も、押すな押すなの大行列です。待ち時間がない分、ありがたく思えということなのでしょうか…美術館は、フェルメールの前でイェーイと言って写真撮影できる程度に空いているのが好みです…


Guilty Pleasure
ヒエロニムス・ボッスの作品は、今回は2点しか出展されておらず、それも変なモンスターがたくさん描きこまれたものではありませんでした。ボッスの作品で特に人気があるものは、「地上の楽園」等だと思います。グロテスクで、ユーモラスで、見ようによっては気持ち悪く、美しいところは特になく、でも妙にかわいい部分もあり、見ていると後ろめたい気分になります。夫に「今日行った展覧会はすごくかわいいのが多くて、」という話をして、チラシや絵葉書を見せたら「悪趣味やな」と言われました。絵画は、細部が非常に精密に描写されていて、空いているときに近付いて観賞できるとよかったのに、と思います。欧米の美術館に行ったとき、だいたい素描と版画の部屋は素通りでしたが、もったいないことだったかもしれません。ブリューゲルも、農民の絵よりもモンスターいっぱいの絵の方が楽しいです。
なお、「地上の楽園」はWikimedia Commonsで拡大して細部まで好きなだけ眺めることができます。良い時代になったものです。

エッグスタンド
就職して、多少の可処分所得を得られるようになったにもかかわらず、あまり欲しいものがなくなりましたが、展覧会の公式サイトで、モンスターの絵付のエッグスタンドが販売されているのを知り、欲しくて矢も楯も堪らないほどでした。茹で卵などまず食べないのに、3つも買ってしまいました。お気に入りは、琴ペン(写真右)です。鳩のようでかわいいし、ハープを担いでいるのも良いです。夫は、「この人の服、拷問する時に着るやつやで。趣味悪いんとちゃう」と言うのですが、なんとなく性格が良さそうに見えます。「忍耐」というタイトルの版画の一部で、絵葉書にはちゃんとPatienceの印字もあるので、机の前に飾って、大切にしたいと思います。


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